私たちの「食」を変える10のテクノロジ--世界人口90億の時代に向けて

Lyndsey Gilpin (TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2014-06-09 07:30

 テクノロジとコミュニケーションの進歩とともに、食品業界に対する意識と、われわれの食料調達手段や調理方法、食生活、廃棄方法に対する意識が増してきている。このような意識の対象となっているテクノロジについて解説する。

 世界の人口が90億人に向かって増えていき、利用可能な土地が減少を続けるなか、われわれのコミュニティーはつながりを増しきている。これによって、重要性が高まってきている世界規模のある重大な懸念がわれわれの頭から離れなくなっている。それは食糧問題だ。幸いなことに、テクノロジによって食料の追跡や分析が可能になるとともに、食料システムの全体像が把握できるようになってきている。その結果、食料の無駄や二酸化炭素の排出量を減らせるうえ、現時点で飢餓に苦しんでいる8億4200万人に食料を調達できるようにもなるはずだ。

 また、食料関係の新興企業も皆の関心を集めている。CB Insightsの調査によると、2014年の第1四半期、食品や食材の宅配企業に対するベンチャーキャピタルの投資が空前の高まりを見せ、2億ドルを超えたという。とは言うものの、夜の11時にタイ料理のテークアウトを注文するためにスマートフォンを使用するという利用がすべてではない。以下はわれわれの食料を変えるとともに、われわれが食料を見つけ、消費し、廃棄する方法を変革する10のテクノロジだ。


テクノロジによって、食べ物に対するわれわれの見方が変わりつつある。
提供:Flickr/Charles Roffey

#1:遺伝子組み換え作物(GMO)

 遺伝子組み換え作物(GMO)を生み出すために用いられるバイオテクノロジは、食品テクノロジにおいて必要不可欠なものとなっているが、悪者扱いされてもいる。GMOは除草剤や害虫に耐性を持たせたり、栄養価を高めたりするなど、遺伝子工学を適用して特定の性質を持たせたものだ。最初の遺伝子組み換えトマトである「Flavr Savr」は1994年に米食品医薬品局(FDA)によって承認され、市場で販売されるようになった。その後、短期間で他の作物でも新種が開発されるようになり、1999年までに1億エーカー(約4000万ヘクタール)の農場でGMOが栽培されるようになった。

 最初のGMOが青果店の店頭に並んでからたった3年後の1997年、欧州はGMOの表示を義務付けたものの、米国ではいまだに政府の規制が及んでいない。現在、収穫量を増やしてより多くの人々に食料をもたらすために、もとの生息地以外の場所でも生息するように遺伝子が組み換えられた作物が開発されている。その対象は小麦や米といった穀物だ。また魚類や鳥類、牛に対しても、得られる肉の量を増やすために成長速度を速めたり、肉に含まれるタンパク質やその他の栄養素を増やしたりするための遺伝子組み換えがしばしば行われている。

#2:精密農業

 精密農業はしばしばサテライトファーミングとも呼ばれる。これはGPS追跡システムと、人工衛星からの写真を使って収穫量や土壌の状態、気象パターンを監視することで、農場の効率を高めるというものだ。2050年までに90億の人間に食料を調達する必要があるという課題がはっきりしてくるとともに、精密テクノロジの重要性が高まってきている。このテクノロジは1990年初頭における収穫量の監視から始まった。現在では、気象分析ソフトウェアや、土壌中の窒素やリンの量を検査するキットといったツールも存在している。

 こういった精密テクノロジシステムを使用することで、農業従事者は農場において生産性の高い場所を正確に特定できるようになる。以前は農場を丸ごと1つの単位として捉えていたものの、今ではどの場所が特定の作物に最も向いているのかが分かるため、種子や肥料、農薬を無駄にしなくても済むようになっている。またこれは、農業従事者に持続可能なプラクティスをもたらし、例えば農地にまく水などのリソースを無駄にしなくても済むようにするといった環境的な観点からも重要だと言える。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  4. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

  5. クラウドコンピューティング

    Snowflakeを例に徹底解説!迅速&柔軟な企業経営に欠かせない、データ統合基盤活用のポイント

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]