Appleは米国時間6月2日のWWDCで、「OS X」と「iOS」の未来に関する多くの発表を行った。中でも特に興味深い(そして影響が最も広範囲に及ぶ)のは「Swift」だろう。驚きの発表となったSwiftは、iOSアプリ開発向けの新しいプログラミング言語であり、開発環境でもある。
以下の分析を読めば分かるように、Swiftはプロの手によるアプリ開発に大変革をもたらすと同時に、趣味や勉強のためにプログラミングをする人の機会を広げる可能性を秘めている。
高性能な生成コードとインタラクティブ性の高い開発というこの二面性は、今までになかったものだ。Appleがうまくやってのけることができたら、Swiftは特別なものになるだろう。
なぜ新しいプログラミング言語に関心を持つ必要があるのか
言語設計者(と学生、研究者)は常に新しいプログラミング言語を開発している。筆者は暗黒時代に言語を設計し、エンジニアリングの学術研究の賞を受賞したことがある。
新しいプログラミング言語と、デフォルトのiOS用言語となるべく設計されたAppleの新しいプログラミング言語には、大きな違いがある。どのような言語であれ、時間がたてば、開発者に発見されて使用されるようになる可能性はある。しかし、900万人の登録開発者とこの1年間だけで加わった1億3000万人の新規顧客を考えると、Swiftは猛烈な速さで極めて広範囲に普及するとみて間違いない。
iOS開発者はなぜ新しい言語に関心を持つのか
これは先ほどのケースとは大きく異なる。まず、AppleがSwiftにお墨付きを与えている(そして、ためらいがちにObjective-Cと距離を置き始めている)ため、開発者はいずれこの新言語を学習しなければならなくなる。
ある日、クリンゴン語が新たな国語になると政府が発表したらどうなるか考えてみてほしい。この上なくクールなアイデアだと思ったとしても、クリンゴン語を学ぶのはどれだけ難しいのか、自分以外に誰と会話できるのか、と考えて少し不安になるだろう。
もっと言えば、言語と統合開発環境(IDE)、そしてアプリケーションプログラミングインターフェース(API)の組み合わせによって、開発者が作り出すアプリの作業量、コスト、保守性、楽しさ、性能、機能の水準の大部分が決まる。
正しい(あるいは誤った)言語を選ぶことで、製品のライフサイクルに多大な影響を及ぼす可能性がある。
Swiftはアフターマーケットビジネスにどのような影響を与えるのか
プログラミングの有効性に関する影響については後の質問で説明するとして、ここでは、プログラミングトレーニングというアフターマーケットに大きな影響があることに留意しておきたい。このアフターマーケットには、プログラミング言語の関連書籍の著者から、オンライントレーニングサービス(Lynda.comなど)、さらにはカリフォルニア大学バークレー校のような大学(筆者は同校でオブジェクト指向プログラミングを教えている)まで、さまざまな人や組織が関わっている。
提供:CNET/CBS Interactive