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肝はリーンスタートアップ--「爆速」ヤフーの“スマデバファースト”戦略

大川淳

2014-06-28 08:00

 インターネットとデジタルメディアの技術動向を紹介し、その方向性や可能性などを考察、論議するイベント「Interop Tokyo 2014」が開催された。初日の基調講演では、ヤフー 執行役員 CMO(チーフモバイルオフィサー)の村上臣氏が「Yahoo! JAPANのスマデバ戦略について」と題して登壇した。

 同社はサービスの基軸をPCからスマートデバイスへと移した「スマデバファースト」政策を掲げ、モバイルに重点を置く戦略転換を進めている。2012年3月に執行体制の若返りを図り、代表取締役社長は井上雅博氏から宮坂学氏へと交代した。日々激しく変化を受けているICTの動きを一層的確に捕捉していくことを目指し、経営陣の平均年齢を10歳以上若くした。このとき、モバイル事業を強化するための中心人物として白羽の矢が立ったのが村上氏だ。

村上臣氏
ヤフー 執行役員 CMO 村上臣氏

 村上氏は大学在学時にITベンチャーを創業したが、その会社はヤフー買収されたために同社に入社。その後、「Yahoo!モバイル」「Y!ケータイ」などを設計、開発し、モバイル事業分野の技術をけん引してきた。2011年4月、新たなモバイル関連ベンチャーを起業、ヤフーを退社。2012年4月に復帰した。

 経営層が新しくなった、この時期に同社は“第二の創業期”という視点で改革に着手した。従来、同社は人気の高いニュースやトピックスにトラフィックを集中させていたが、「これまでとは異なったやり方が必要になった」

 スマートデバイスを主目標とするなら、それだけでは必ずしも十分ではなくなるからだ。とはいえ、同社のような企業での改革には、もう一つ別のハードルがあったようだ。

 「経営状況が右肩下がりで、危機感を持った中で改革に取り組もうという場合と毎年増収増益を継続している、うまくいっている企業が変わろうという場合」では大きく異なる。ヤフーは当然、後者だ。士気を高めるには「トップからのメッセージが必要になる」と村上氏は考えた。

走りながら解決する「爆速」が不可欠

 ここで掲げられたのが「爆速」だ。ICTの業界は、変化や進化の速度が途方もなく高い。そのことを例えて、もう十数年前からドッグイヤーと言い習わされてきた。それがこの数年でさらに速度を増している。この流れに対応するためには、高速をはるかに超えた意気込みが求められた。

 村上氏は「市場環境は変化し、パソコンからスマデバへと(中核は)移行している。変化の速度はさらに高まり、パソコン中心時代と比べ、体感的には3倍くらいだ。さまざまな動きは世界規模で起きている。不測の出来事もある。問題は走りながら解決しなければならない。“敵”も世界規模だ。速くなくてはならない」と話す。

 爆速を標榜した同社は「!(ビックリ)なサービス」を目指すことになった。「!なサービスとは、驚きを持って受け止められるもの。イノベーションだ」と村上氏は語る。

 「ゼロを1にするのは発明に近い。これができるのは、ごく限られた天才だろう。Steve Jobsのような人たちだ。1を10にするのはイノベーション。いわば秀才的な努力が求められる。日本人は、この領域が得意だ。種を蒔き、育て、絶え間ない改善を繰り返す。これなら(業績を)2倍にするのは可能だが、爆速経営では10倍に挑戦する」

失敗を恐れるな

 その具体策として同社は、重要な施策に取り組む際、若手とシニア層を組み合わせるなどして数人程度からなるチームを複数設け、競わせるといった手法を採用した。「2~3倍の成功ではなく、10倍を目指すため」という。

 ここで重要なことは「失敗を許容する文化」。「トップやマネージャーは10回のうち8~9回のヒットを求めがちだが、野球では、10回に3回ヒットを放てば、3割打てる好打者とされる。それと同じように、ホームランが出れば失敗は回収できる」からだ。

 10倍を目指すには、失敗も許容し、失敗から学び、高速に回転していく仕組みが「リーンスタートアップ」が重要になってくる。それほどコストをかけずに短いサイクルで製品やサービスを投入し、市場が何を求めているかを探り当てていくやり方だとされる。これは「曖昧なものを確実なものに変える方法論」という。高速を上回る勢いで激変する環境に適応するため、走りながら実行していく手法といえる。

 「ベターなものの積み重ねで打率を上げる。慎重なプロジェクトを作り上げるのは、昔のようなスピード感ならよかったが、今では半年もすれば、環境が変わってしまうこともある」と、村上氏は述べる。

 リーンスタートアップの事例として、村上氏は毎日の行動を自動的に記録するライフログアプリ「僕の来た道」を挙げた。これは、去年の夏休みにどこに行ったかなどをすぐに思い出せるという触れ込みだ。

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