CoreOSとDockerの採用によって、大きな違いがもう1つ生み出される。つまり、特定アプリケーション(「Apache」や「Nginx」といったサーバ)の依存関係をインストールするのではなく、アプリケーションをDockerコンテナ内に配置した後、CoreOSのインスタンス上にインストールするというかたちになる。
また、CoreOSにはFastPatchという、アプリケーションとOSの双方に適用できる興味深いアップデート手段が用意されている。この手段を用いることで、パッケージ単位ではなくOS全体を単一の構成単位としてアップデートできるようになる。実際、CoreOSにはaptやyumといった、Linuxで一般的となっているパッケージ更新ツールが含まれていない。
またパッケージ化ツールに代わって、CoreUpdateというダッシュボードプログラムを使用することになる。このプログラムを使えば、単一のサーバ群や、複数のクラスタあるいはデータセンターすべてを1度にアップデートできるようになる。
この新しいOSにはクラスタリング機能も搭載されている。Linuxであればどのようなものでもクラスタ化は可能だが、CoreOSは簡単に個々のシステムを単一のリソースプールに集約できる。特定のマシン上でサービスを稼働させるのではなく、クラスタに対してサービスをサブミットし、クラスタマネージャ(fleet)がサービスの実行場所を決定するというわけだ。
CoreOSの開発チームは最小限のLinuxサーバを用いて、AmazonやFacebook、Googleがデータセンターで使用している自社ブランドのLinuxと同種のことを通常の企業が行えるようにしたと主張している。筆者はそれがどれだけ良いことなのか確信を持てないが、理解している範囲では、とても素晴らしいと言えるだろう。
CoreOSが大企業向けLinuxの分野において、真の力を発揮するだろうと考えているのは技術者だけではない。Kleiner Perkins Caufield & Byers(KPCB)のゼネラルパートナーであるMike Abbott氏は声明で「CoreOSを支えるテクノロジは画期的だ」と述べるとともに、「CoreOSは、最新ソフトウェアへのアップデートやパッチといったものを自動的にサーバに適用するだけでなく、ダウンタイムも低減することで、インターネットアーキテクチャのセキュリティと障害回復性を高められるため、業界を何年も苦しめてきたインフラの問題を解決できるようになる」と述べている。