35ドルのLinuxコンピュータである「Raspberry Pi」が発売されたのは、子どもにプログラミングを教えるためだったかもしれないが、このクレジットカードサイズのボードは次第に、企業がカスタムメイドの機器を構築するのに使われるようになっている。
IBMやThe Financial Timesといった多種多様な企業が、特定のビジネス課題の解決を目指す特別なシステムを動かすためにRaspberry Piを使っている。
The Financial Timesでは、開発運用連携(DevOps)チームが同社の自動インフラモニタリングソフトウェアから送られてくる情報に飲み込まれていた。同社のサーバ上で稼働しているソフトウェア「Nagios」は、ディスクやCPUの使用状況からHTTPトラフィックまで、さまざまな可変要素をモニタリングしており、こうした可変要素のどれかの状況が変わるたびにチームに電子メールが送られてくるようになっている。
困ったことに、こうした可変要素は頻繁に変動するため、チームは電子メールの多さに動きが取れなくなり、Nagiosからのメッセージを無視し始めた。
サーバの異常をもっと分かりやすい方法で検知することが必要になったDevOpsチームは、Raspberry Piを頼ることにした。チームは1台のRaspberry Piを使って、各サーバの状態に応じて、LEDストリップの色が変わるようなシステムを稼動させた。緑、オレンジ、黄、赤、赤の点滅はそれぞれ、OK、不明、警告、危険な状態、30分以上にわたる危険な状態を表す。このシステムは60個のRGB LEDが取り付けられた柔軟性のあるストリップを使って作られており、そこに組み込まれたマイクロコントローラがRaspberry Piに接続されている。このRaspberry Piでは、Nagiosから送られてくる通知をモニタリングする、さまざまなPythonスクリプトを実行している。このシステムの構築方法についての詳しい情報は、こちらから入手できる。
The Financial Timesが作成したモニタリングシステム
提供:The Financial Times
一方IBMは、例えば工場の生産ラインをモニタリングするシステムの構築など、顧客向けの概念実証システムを1つにするためにRaspberry Piを使っている。デモンストレーション用のシステムを構築するにあたっては、「Arduino」ボードをウェブカメラや、温度、気圧、湿度のセンサと接続するために、Raspberry Piボードを使い、モノのインターネットのためのイベント処理エンジン「Node-RED」を稼働させている。