本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、テラスカイの松岡弘之取締役と、富士通エフサスの今井幸隆代表取締役社長の発言を紹介する。
「クラウドのインテグレーションを手作業で行うのはナンセンスだ」 (テラスカイ 松岡弘之 取締役)

テラスカイ 取締役 松岡弘之氏
クラウドインテグレーターのテラスカイが先ごろ、モノのインターネット(Internet of Things:IoT)やM2M(Machine to Machine)へのクラウド活用および同社の取り組みについて、記者やブロガーを対象に説明会を開いた。同社取締役で製品営業部部長を務める松岡氏の冒頭の発言は、その説明会で、クラウドのインテグレーション手法に対する考え方を述べたものである。
テラスカイは2006年の創業以来、クラウドの導入促進を専業として展開。セールスフォース・ドットコムのコンサルティングパートナーとして、Saleforce CRMなどの導入実績は1400件を超え、2013年からはAmazon Web Services (AWS)のサービスも本格的に手掛けている。さらにクラウド連携のための独自サービス「SkyOnDemand」なども展開しており、自らをかつてのシステムインテグレーター(SIer)ならぬクラウドインテグレーター(CIer)と標榜している。
そのCIerとして重要なポイントを、手作業が多いSIerと対比した上で強調したのが、松岡氏の冒頭の発言である。手作業で行うのがナンセンスである理由について同氏は、「クラウドのインテグレーションは、いかに効率よくスピーディーに行うかがユーザーから強く求められている」からだという。
そんなテラスカイにとっても、IoTやM2Mへのクラウド活用は、これからの大きなビジネスチャンスだ。ただ、松岡氏はこれらの領域を今後大きく広げていくためには、共通の利用環境をきちんと整備しなければならないと指摘する。
どういうことかというと、同氏はM2Mの場合、これを有効活用するためには、あらゆるM2MデバイスをつなぐM2Mネットワークを経由して、個別のアプリケーションに反映する共通基盤となる「M2Mプラットフォーム」の整備が欠かせないと説明する。つまり、このM2Mプラットフォームがクラウド上できちんと整備されないと、M2Mは大きく広がらないというわけだ。