テルモは、C言語からFPGA(Field Programmable Gate Array:内部の回路構成を書き換えることができるLSI)の回路を合成可能な設計ツールを、医療機器製品に設計ツールとして採用した。現在開発中の輸液管理用医療機器に用いる制御LSIに用い、同機器の設計期間を従来の手作業で回路合成する方法と比較して約6割短縮し、高い信頼性が求められる医療機器の開発を大幅に効率化したという。設計ツールを提供したNECが8月25日、発表した。
採用されたのは、NECの設計ツール「CyberWorkBench」。C言語で記述したLSIの機能を、必要な回路規模(面積)・動作性能条件を満たす回路に自動変換することで設計期間の短縮を実現する高位合成・動作検証ツール群だ。
人工衛星、通信機器、基幹系サーバなど高い信頼性が求められる機器の制御LSI設計ツールとして利用実績があり、2006年の販売開始から現在に至るまで国内外の製造業100社以上に導入されている。
医療機器業界では昨今、高性能・高信頼な機器を短期間に開発し市場に投入するニーズが高まっている。これまで、テルモは医療機器の中核となる制御LSI(FPGAを使用)の設計時に、C言語で記述した機能を、要求性能を満たす回路に変換する工程を手作業で行っており、効率化が課題となっていたという。
CyberWorkBenchの導入によるテルモでの成果は以下の通り。
・回路の自動合成により高信頼な機器を短期間で設計
同ツールにより、C言語で記述した機能を自動的に変換し回路合成が可能となった。従来の手作業による回路への変換で課題となっていた変換過程での誤り混入の防止や、仕様変更の度に発生していた回路修正作業の大幅削減を実現し、高い信頼性を有した医療機器の設計期間を8カ月から3カ月へと約6割短縮。
・さまざまな規模、性能の回路をグラフで提示する機能により、最適な回路を容易に選択可能
必要な機能を記述したC言語からさまざまな性能や規模の回路を合成し、グラフ上に表示する機能を持ち、複数の合成回路の中から利用するFPGAの規模に収納可能、かつ最速の処理性能を有した回路を選択可能となった。
また、クロック周波数、面積、性能などの値を制約として入力するだけで、回路の規模や処理性能を変更可能となり、手作業による修正と比較して高信頼な回路を効率的に合成することが可能に。
NECでは、今回のテルモへの提供実績を生かし、医療機器業界をはじめ国内外の半導体を設計するさまざまな製造業に同製品を拡販し、今後2年間で200社への提供を目指すとしている。
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