「オープンデータは、モノのインターネットを促進するプラットフォームとなり得る。利用可能で、頻繁に更新され、関連性と有用性があり、APIを通じて利用できるデータだからだ」(Schenk氏)
シカゴ市は、オープンデータに基づいたプロジェクトを拡大するために、研究者や企業と提携している。その1つが、シカゴ大学コンピューテーション研究所による「Array of Things」プロジェクトだ。
3Dプリンタで作成されたセンサが、シカゴ市中心部の信号柱に設置される予定で、ここから得られた市内の騒音や振動などのデータがオープンデータサイトに掲載される。最初にシカゴ大学のキャンパス内に4個のセンサが設置され、この試験を市中心部に拡大する段階で、40~50個のセンサが設置される予定だ。
「まだ決まっていない部分もある。実際のデバイスの製造プロセスを改良している段階だからだ」(Schenk氏)

3Dプリンタで作成したセンサ
提供:シカゴ市
除雪が必要かどうかを判断するために、歩道の温度を測定する低解像度カメラが搭載される予定で、さらには、大気環境や気温についての気象や環境データも測定されることになっている。
「こうした数々のセンサは、研究や学術だけに使われるものではない。この情報は利用目的が何であれ、誰でも好きなときに同じ条件で利用できるようになる」(Schenk氏)
シカゴ市はまた、公共エリア全体に無料Wi-Fiを設置する取り組みを進めており、当初は市営図書館とビーチエリアに重点的に設置する。さらに、離れた場所から制御可能なLED信号や、一杯になると市にアラートを出す太陽光発電式のゴミ圧縮機もある。
予測型の治安維持

提供:Josh Taylor/ZDNet
シカゴ市のデータ利用には、より大きな議論を呼ぶ可能性があるものもある。その1つが、シカゴ市警察が、将来的に犯罪者となる可能性がある人物を予測するために、このデータを利用することだ。
シカゴ市警察のJonathan Lewin氏は、米司法研究所からの助成金によって「予測型の治安維持」(predictive policing)モデルを開発する予定だと述べ、以下のように説明した。
「このモデルでは、ポータル上のデータのほか、ギャング関連のデータなどの情報を含む数多くのソースからデータを利用することで、われわれの言う将来的な暴力行為の当事者を、特定できるモデルを作成する」
「こうした個別の具体的な犯罪関係者は、一般の人々よりも暴力犯罪の当事者となる可能性が高いことがモデルから分かる。このことは私にとって、現在、警察活動に関して最も刺激的なことの1つだ」
Lewin氏によれば、これは犯罪分布地図だけにとどまらず、警察によって「介入戦略」の対象とされる、特定の個人を調べることにもなる。同氏はさらに、以下のように語った。
「対象となるのはみな、少なくとも過去に1回、犯罪ネットワークのメンバーとして逮捕されたことのある犯罪者だ」
「目指しているのは、将来的な被害だけでなく、将来的な犯罪行為を回避することだ。介入任務は、職業訓練から、他の社会サービス機関への紹介まで多岐にわたる」
「もちろん、はっきりとした犯罪の根拠があるかどうか確かめる。しかし、このモデルは、こうした人々への介入の優先順位付けに役立つものであり、われわれはこの点が、最も有意義な結果になると考えている」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。