次の産業革命の担い手として、スマートロボットの存在に注目が集まっている。米Gartnerが8月11日に発表した「Gartner's 2014 Hype Cycle for Emerging Technologies Maps the Journey to Digital Business」では、黎明期(Innovation Trigger)にスマートロボットをあげており、これからの成長が期待されるテクノロジとして位置づけている。
ロボット政策を急ぐ各国政府
各国政府もロボット政策を急いでいる。米国では2011年6月に「国家ロボットイニシアティブ」を発表し、国立科学財団(NSF)、国立衛生研究所(NIH)、航空宇宙局(NASA)及び農務省(USDA)の4組織による次世代ロボット開発の研究費として7000万ドル規模の予算を投入している。
日本政府は9月11日、「第1回ロボット革命実現会議」を開催し、研究開発から導入・普及までのアクションプランとして5カ年計画の策定を進め、医療・介護、移動支援、災害対応、コミュニケーションなどの分野で産官学挙げて次世代ロボット開発に力を入れていく。2020年には、東京五輪開催にあわせて、ロボットオリンピック(仮称)の開催も計画している。
日本政府は、ロボット先進国として世界をリードしていくことを目指すとともに、ロボット産業を成長戦略の柱の1つに位置づけている。
ロボット分野の市場規模は、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ロボットの将来市場予測 2010.4」によると、2012年は8610億円で、2015年の市場は1兆5000億円、2020年には2兆9000億円、2025年には5兆2000億円、2035年には9兆7000億円まで成長すると予測している。
2020年には、ロボット市場は製造分野では現在の2倍になると予測しており、製造業の労働生産性の年間2%向上を目指している。また、パーソナルモビリティ、物流、警備、介護・福祉などのサービスなど非製造分野では、現在の20倍の伸びを予測しており、高齢化や少子化などの人口減による労働不足を補う一躍を担うと期待されている。
世界市場をみてみると、国際ロボット連盟(International Federation of Robotics:IFR)が6月に公表した「Global robotics industry」によると、2013年の中国の産業用ロボットは2012年比60%近く増えて3万6560台となり、初めて日本(2万6015台)を抜き、世界最大のロボット大国となっている状況だ。