スマートマシン時代の到来

ロボットビジネスの覇権と可能性--注目されるロボットOS競争

林 雅之

2014-11-07 07:00

 次の産業革命の担い手として、スマートロボットの存在に注目が集まっている。米Gartnerが8月11日に発表した「Gartner's 2014 Hype Cycle for Emerging Technologies Maps the Journey to Digital Business」では、黎明期(Innovation Trigger)にスマートロボットをあげており、これからの成長が期待されるテクノロジとして位置づけている。

ロボット政策を急ぐ各国政府

 各国政府もロボット政策を急いでいる。米国では2011年6月に「国家ロボットイニシアティブ」を発表し、国立科学財団(NSF)、国立衛生研究所(NIH)、航空宇宙局(NASA)及び農務省(USDA)の4組織による次世代ロボット開発の研究費として7000万ドル規模の予算を投入している。

 日本政府は9月11日、「第1回ロボット革命実現会議」を開催し、研究開発から導入・普及までのアクションプランとして5カ年計画の策定を進め、医療・介護、移動支援、災害対応、コミュニケーションなどの分野で産官学挙げて次世代ロボット開発に力を入れていく。2020年には、東京五輪開催にあわせて、ロボットオリンピック(仮称)の開催も計画している。

 日本政府は、ロボット先進国として世界をリードしていくことを目指すとともに、ロボット産業を成長戦略の柱の1つに位置づけている。

 ロボット分野の市場規模は、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ロボットの将来市場予測 2010.4」によると、2012年は8610億円で、2015年の市場は1兆5000億円、2020年には2兆9000億円、2025年には5兆2000億円、2035年には9兆7000億円まで成長すると予測している。

 2020年には、ロボット市場は製造分野では現在の2倍になると予測しており、製造業の労働生産性の年間2%向上を目指している。また、パーソナルモビリティ、物流、警備、介護・福祉などのサービスなど非製造分野では、現在の20倍の伸びを予測しており、高齢化や少子化などの人口減による労働不足を補う一躍を担うと期待されている。

 世界市場をみてみると、国際ロボット連盟(International Federation of Robotics:IFR)が6月に公表した「Global robotics industry」によると、2013年の中国の産業用ロボットは2012年比60%近く増えて3万6560台となり、初めて日本(2万6015台)を抜き、世界最大のロボット大国となっている状況だ。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

関連記事

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

  5. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]