では、改めて新生Microsoftをご紹介しよう。
Satya Nadella氏は2014年、同社の最高経営責任者(CEO)に就任した。当時、Nadella氏にMicrosoftという動きの遅い巨獣を一変させる手腕があるかどうか、人々は少なからぬ疑念を抱いていた。
しかし、Nadella氏の指揮の下、さまざまな変化が起きた。本記事では、新生Microsoftを従来と異なるものにしているさまざまな要因について、最新の情報を交えて解説する。
まず、秘密を守れるようになった
Microsoftは先週、「iOS」向け「Office」を突然アップデートし、人々を驚かせた。秘密を守ることが得意になった同社が2014年に人々を驚かせたのは、これが初めてではない。以下の例を思い出してほしい。
- 5月にニューヨークで「Surface Pro 3」を発表。小型のタブレットが発表されるとのうわさが流れていたが、そのプロジェクトは発表イベントの数日前に棚上げにされた。
- 次世代の「Windows」に関する重大な発表には、「Windows 10」という新しい名前も含まれていた。それを予想した者はいなかった。
- Microsoftがウェアラブルデバイスを発表することを匂わせるうわさはあったが、「Microsoft Band」を予想した者はいなかった。
- 新しい「Mac」向け「Outlook」とiOSおよび「Android」向けOfficeのメジャーアップデートは先週、何の予告もなしに発表された。
従来のMicrosoftはこうした秘密を守ることを不得手としてきた。しかし、Nadella氏時代のMicrosoftは、手の内を見せずに事を進めるのが非常に上手くなった。
そして、他社と上手くつきあえるようになった
長年、企業としてのMicrosoftの最も大きな強みの1つは、自社のプラットフォームに開発者を引き寄せる能力だった。しかし、最近の同社はそれと逆のことをしており、これまでより速いペースで、自社のソフトウェアとサービスをほかのプラットフォームに対応させている。
2013年の今頃、iOS向けOfficeは単なるうわさにすぎなかった。Android向けOfficeが提供される可能性についても、多くの議論が繰り広げられていた。
3月に「iPad」向けOfficeが発表されたことで、状況は一変した。その後、次から次へとアップデートが発表され、先週、遂に大型「iPhone」を対象とする、刷新されたOfficeアプリ群(「Word」「PowerPoint」「Excel」)がリリースされた。
さらに、もっと大きなニュースが発表された。MicrosoftがAndroidユーザーに「Google Docs」に代わるOfficeを提供することを計画している、というものだ。MicrosoftとGoogleの熾烈なライバル関係を考えると、Satya Nadella氏と先頃中核的製品を統括する立場に昇格したGoogleのSundar Pichai氏の間で交わされたこのTwitterでのやり取りは、一部の人々を大いに驚かせたはずだ。
結局のところ、Microsoftは自身が所有も管理もしていないプラットフォームの力を認めるという現実的なアプローチによって、デスクトップおよびモバイル向けのアプリやサービスを積極的に開発している。