目指すところは同じ--DevOpsから考えるITサービス管理の勘所(前編) - (page 2)

最上千佳子 (日本クイント)

2014-11-13 06:30

ITサービスマネジメント(ITSM)

 名前の通り、「ITサービス」を管理(Manage)することです。「ITサービス」とは、“ITサービスプロバイダー”が“顧客”に価値を提供するための“あらゆる事柄”を含みます。

 ここで言うITサービスプロバイダーとは、ITサービスを提供する者や組織を指します。社内の情報システム部門、情報システム子会社、IT企業など企業の内外を問いません。また、ここで言う顧客とは、ITサービスを享受する者や組織を指します。

 特に、ITサービスを利用して自らのビジネスに活かし、ITサービスプロバイダーに対価を支払う者や組織を指します(ITサービスの利用者を顧客とは分けてユーザーと呼ぶこともあります)。

 社内の情報システム部門にとっては、顧客は、同じ社内の事業部門(内部顧客)もあれば、一般市場や企業間取引の相手企業(外部顧客)もあります。IT企業(プログラミング開発企業、クラウドサービス企業、システム開発企業、運用・保守企業)にとっては、顧客は言葉通り「お客様(ビジネスの相手)」となります

 ここで言うあらゆる事柄には、ハードウェアやソフトウェアなどの技術を実装した製品だけでなく、それを設計から構築、開発、運用する人材、それらの人材の活動(プロセス)、継続的な改善とその根幹にある戦略、また、ユーザーとのコミュニケーションやサプライヤー(外部ベンダー/協力会社)との連携などが含まれます。

ITIL(IT Infrastructure Library)

 ITILは1988年以降、ITサービスマネジメントのベストプラクティス(成功事例)をもとにイギリス政府により書籍にまとめられたフレームワークです。価値あるITサービスを提供するためにITサービスプロバイダーはどのような観点でITサービスを管理し、アピールし、改善し続けるべきかについてまとめられています。現在、デファクトスタンダード(事実上の標準)として世界中で受け入れられ、採用されており、その内容は継続的に改善・改版を重ねられています(初版→ITIL V2→ITIL V3→ITIL 2011 edition)。

【書籍購入】書籍は日本語訳もされており、購入可能です(参考:itSMF Japanウェブサイト
【資格試験】ITIL V2以降、認定資格化されており、合格者には資格が付与されます。資格取得のための教育コースも整備されており、企業の人材育成にも活用されています(詳細は後述)
【所有者】ITILの知的所有権は現在、AXELOS社が所有しています(参考:AXELOSウェブ

特徴1:サービス指向・顧客指向
 「サービスとは顧客に価値を提供する手段の一つ」(出典「ITIL 2011 edition サービスストラテジ」)

 ITILでは、その考え方の中心に「ITサービス」を置き、「顧客」にとっての価値をどのように提供すべきか、常に価値を提供し続けるためには何に気を付け、何をどのように管理すればよいのか、についてまとめられています。

特徴2:サービスライフサイクルアプローチ
 ITILでは、ITサービスのライフサイクルを以下の5段階(フェーズ)に分け、それぞれのフェーズで何をどのように管理するべきかをプロセスとして取りまとめています。

  • 戦略(Service Strategy:サービスストラテジ)
  • 設計(Service Design:サービスデザイン)
  • 移行(Service Transition:サービストランジション)
  • 運用(Service Operation:サービスオペレーション)
  • 改善(Continual Service Improvement:継続的サービス改善)

 このライフサイクルの特徴は、ライフサイクルの流れが、運用フェーズの後、設計フェーズに戻っていることです(図参照)。

 IT業界では、要件定義フェーズを「超上流工程」、設計フェーズを「上流工程」と呼ぶことが多いのではないでしょうか。この呼称は、その背景にウォーターフォール型の開発の考え方が根深く浸透していることがうかがえます。

 設計フェーズが「上流」だとすると、運用フェーズは「下流」となります。川の下流に流れ着いた水は上流に戻ることは不可能です。一旦設計したものを運用に入ってから改修することはできない(すべきではない)ので、最初にしっかり設計を作りこんでおこうというという考え方(right-first-time approach)です。

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