内田洋行は「コラボレーションの進化」をテーマにリニューアルした、東京・新川の内田洋行新川第2オフィスを公開した。
企業では、ワークスタイルの変化やモビリティの浸透、ペーパーレス化の広がりなどを背景に、よりコラボレーションを活性化させるオフィスづくりに関心が高まっている。
内田洋行が、自社で実践した「Change Working」プロジェクトによる検証の結果、昨今の業務内容の変化や迅速化にあわせて、オフィスのあらゆる場所で、即座に打ち合わせできることが重要視されていることに着目し、新たな働き方に適したオフィス環境へとリニューアル。同社の顧客などにも公開する実践的ショールームに位置付ける考えだ。
内田洋行 代表取締役社長 大久保昇氏
内田洋行 取締役執行役員 オフィス事業本部長 朝倉仁志氏
代表取締役社長の大久保昇氏は「今後、日本の労働力が減少すると予測される中、日本社会や企業にとっては従業員の生産性を向上させることで従業員の活力をいかに生かすかが重要である。また、女性や高齢者が働ける職場を作り、多様性に対応していかなくてはならない」と説明した。
「今回のリニューアルは、働き方の変革を提案するものになる。内田洋行は、25年前に知的生産性研究所を作ったが、ここでの研究成果も反映している。内田洋行は、実践と研究を通じて、これからのオフィスを作っていくことになる」(大久保氏)
内田洋行では、固定席を廃止し、業務に応じた最適な場所を選んで働く「Active Commons」というコンセプトを提唱。一般的なフリーアドレスではなく、部門を越えたコミュニケーションの強化と、他者とのスピーディな情報共有、自己作業の集中といった仕事の内容に合わせた場所を選択する働き方を自ら実践しながら提案している。
取締役執行役員 オフィス事業本部長の朝倉仁志氏は、「2011年8月にChange Workingプロジェクトを発足し、2012年2月のオフィス移転とともにファーストステージとして取り組んできた。ここでは共有機能を自在に使いこなし、仕事のパフォーマンスを最大限に発揮するための最適な場の提供を模索してきた。その取り組みの結果、顧客対面時間比率は2.1倍に、従業員の自発的な学習機会は3倍に増加。相談や検討型ミーティングの時間は1.2倍に増加したという成果が出た」という。
提案書登録件数が2倍に増加、書類の保管量は26%にまで縮小。これまで面識がなかったメンバーとのコミュニケーションが増えたと回答した従業員は83%に達したという。
知的生産性研究所によるプロジェクトを検証する一方、組織風土診断ソフト「Team Culture Visualizer」、働き方・働く場診断ソフト「Work Performance Viewer」を活用。企業での働き方や働く場で重要とする項目と、その実現度がどれだけ乖離しているのかを分析した。その結果、自律的で活発な行動に関する項目に重要度が高い一方で、コミュニケーションのとりやすさや場所の選択のしやすさについては重要度と実現度に乖離が大きいことなどを導き出した。
その一方で、それぞれの営業部門が持つ特性も顕在化してきたという。