Amazon Web Services(AWS)は米国時間11月13日、年次カンファレンスAWS re:Invent 2014で、クラウドでアプリケーションをビルドして実行する新たなプラットフォーム「AWS Lambda」を発表し、US East(Northern Virginia)、 US West(Oregon)、 Europe(Ireland)リージョンで限定プレビューをローンチした。コンピュートリソースの自動的な管理を行うことで、新たな情報に迅速に反応するアプリケーションの構築や管理を容易にするという。
AWS Lambdaでは、画像のアップロードや、アプリ内のアクティビティ、ウェブサイト上でのクリック、ネットワーク接続された機器からの出力といったイベントの発生から数ミリ秒以内にコードの実行が開始されることを謳っている。また開発者はAWS Lambdaを使用することで、個々のリクエストに応じてコンピュートリソースが自動的に起動されるようなバックエンドサービスを作成できるようにもなる。
Amazonは、アプリケーションデータの変更に対して、コンピュートサイクルを使って何らかのアクションをとるというユースケースが今日では数多く存在しているとして、画像を新たに「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)にアップロードしたり、「Amazon DynamoDB」のデータを更新したり、「Amazon Kinesis」でストリーミングデータをリアルタイム処理するといった例を挙げている。こういったデータ変更に対処するには、(たいていの場合はアベイラビティゾーンをまたがった)多数のコンピュータ群を管理するとともに、リソースの管理や設定、スケーリングを行うことが顧客に求められるが、AWS Lambdaによって、仮想サーバのプロビジョニングや管理を一切必要とせず、データの変更をきっかけにしてコード内の関数が実行され、パフォーマンスの高いコンピューティングプラットフォームが提供されるという。
顧客はイベントに対するアクションを簡単なJavaScriptコードで記述し、AWS Lambdaにアップロードする。データが変更されてから数ミリ秒以内に、AWS Lambdaはアクションを実行するための適切なコンピュートリソースを用意する。また、リクエスト数が大幅に増えたとしても自動的にスケーリングされ、必要であれば複数のアベイラビリティゾーンに分散される。
AWS Lambdaは、ネイティブなライブラリも含め、サードパーティーのライブラリと連携するため、開発者は新たに言語やツール、フレームワークを学習する必要がない。また、AWS Lambda内で機能を直接編集できるようになっているため、編集結果をコンパイルし、変更をビルドした後で、アプリケーションを再配備しなくても、該当アプリケーションを即座に更新できるようにもなっている。
課金は100ミリ秒単位のコンピュート時間と個々のリクエストに対して行われる。無料枠は1カ月あたり100万リクエストと1カ月あたり最大320万秒のコンピュート処理時間が含まれる。