米Intelの投資部門であるIntel Capitalは11月の初旬、南カリフォルニア・ハンティントンビーチにて第15回目となる「Intel Capital Global Summit」を開幕した。4日に行われた基調講演にて、Intel Capital プレジデント 兼 Intel エグゼクティブバイスプレジデントのArvind Sodhani氏は、新たな投資先16社に合計約6200万ドルを投資したと発表した。
Intel Capital プレジデント 兼 Intel エグゼクティブバイスプレジデント Arvind Sodhani氏
Intel Capitalは1991年以来、110億ドルもの投資を世界57カ国1401の企業に対して行っている。Sodhani氏によると、2014年は現時点で55社に投資し、1年間の投資額は3億5500万を見込んでいるという。5月には、自動運転技術の開発企業である日本のZMPにも投資している。今年だけで、Intel Capitalが投資した企業のうち3社がIPO(新規株式公開)を果たし、19社が買収された。
今回Intel Capitalが投資を発表した企業は、新デバイスおよびウェアラブルコンピューティング分野の企業3社(Avegant、Braigo Labs、Eyefluence)、モバイルおよびワイヤレス関連企業6社(AnDAPT、Audyssey、Incoming Media、INRIX、Screenovate Technologies、Thundersoft)、高度マイクロプロセッサおよびシステムオンチップ開発企業2社(NetSpeed Systems、Reno Sub-systems)、ビッグデータおよびクラウドインフラストラクチャ分野の企業5社(Gigya、PilotTV、PrecisionHawk、Prelert、Stratoscale)だ。
米国を拠点とする企業が大半で11社を占めており、ほか台湾(および中国)を拠点とする企業が2社、イスラエルの企業2社、カナダの企業1社が投資先として選ばれた。
Braigo Labs 創業者 Shubham Banerjee氏
今回発表された投資先の中から、Sodhani氏は2社を基調講演にて紹介した。その1社は、パロアルトに拠点を置くBraigo Labsだ。同社の創業者であるShubham Banerjee氏は現役中学生の13歳で、「これまでに投資した企業の創業者としては最年少」(Sodhani氏)だという。
Braigo Labsが開発したのは、IntelのIoTデバイス向け超小型開発プラットフォーム「Edison」とレゴブロックを活用した、安価な点字プリンタ「Braigo v1.0」だ。創業者のBanerjee氏が学校のプロジェクトとして開発したプロトタイプを地元の科学フェアにて披露し、そこで人々の目に止まったのだという。
基調講演の壇上に招かれたBanerjee氏は、Intel Capitalから投資を受けるほど注目されるとは思っていなかったことを明かしつつ、開発の背景として「点字プリンタの価格を調べたところ、通常は2000ドル以上することが分かった。この価格では、特に途上国などにて大きな負担となる。そこで、教育機関や家庭でも利用できる安価な点字プリンタを開発しようと思った」と述べた。
この製品をビジネス化しようと考えたのは、「プロトタイプを見た人たちから、購入するにはどうすればよいのかという質問を数多く受けたため」だという。Braigoは、販売価格350ドルを予定しているという。