冒頭の発言はこのコメントの中で、ライバルへの対抗意識について述べたものである。小池氏は「先行する2社」について社名を語らなかったが、Amazon Web Services(AWS)とMicrosoftであることは明らかだ。今回の東京データセンター開設で、日本でのクラウド事業をパワーアップさせたIBMが、今後さらにどんな追撃策を打ち出してくるか、注目しておきたい。
「クラウドインテグレーションのナンバーワン企業を目指したい」 (富士通エフサス 今井幸隆 代表取締役社長)
富士通エフサス 今井幸隆 代表取締役社長
富士通エフサス社長の今井氏が2015年の年頭所感で、「クラウドインテグレーションのナンバーワン企業」を目指すことを宣言した。
今井氏は年頭所感で、クラウドファースト時代に向け、「当社にはこれまで長年、富士通グループのお客様を支えてきたオンプレミスの技術やノウハウに加え、クラウド基盤を支える“仮想化の富士通エフサス”として、国内随一の仮想化技術者数を擁する強みがある」と強調したうえで、次のように宣言した。
「そうした強みを最大限に生かすとともに先進技術を先取りすることで、オンプレミスやプライベートクラウド、パブリッククラウド、さらにこれを相互に連携させるハイブリッドクラウドやインタークラウドの中から、お客様にとっての最適解、およびその移行ステップなどを提案し構築するクラウドインテグレーションを推進し、この分野でのナンバーワン企業を目指したい」
実は、筆者が昨年秋に今井氏を取材した際、同氏は「クラウドファーストが浸透しつつあるが、対象となるシステムの現状をよく見れば、オンプレミスでの使用を継続したほうがよいケースもある。そこを的確に判断できるクラウドインテグレーターを育成したい」と語っていた。
その際の同氏のメッセージについては、こちらをご覧いただくとして、当時同氏が強調していたのは、クラウドインテグレーターという新たな人材育成の必要性だった。
今回、同氏が年頭所感で述べた「クラウドインテグレーションのナンバーワン企業」への挑戦は、自ら人材育成を進めたうえでの富士通エフサスのビジョンを明確に示したものである。
1989年に富士通のコンピュータや通信機器などの保守・修理部門が分離して設立された同社は、今ではITサービスを総合的に提供するベンダーに変身している。さらに今回、自ら掲げた新たなビジョンに向けて、今後どのような革新を遂げていくか、注目しておきたい。