インフォアジャパンは1月13日、組立製造業向けSaaS型の統合基幹業務システム(ERP)スイート「Infor CloudSuite Industrial」の提供を開始した。税別月額料金は1ユーザーあたり約1万5000円となっている。
米本社は2014年10月に開催した自社イベントでクラウドERPを宣言。日本でも2014年12月19日から自動車業向け「Infor CloudSuite Automotive」(税別月額料金は1ユーザーあたり2万円)を提供している。今後も業種特化型中小企業クラウドERPの提供を予定している。

インフォアジャパン 代表取締役社長 尾羽沢功氏

インフォアジャパン 常務執行役員 ビジネスコンサルティング本部 本部長 植木貴三氏
1月13日に開催した会見で日本法人の代表取締役社長である尾羽沢功氏は「昨年10月、米本社のCEO(最高経営責任者)であるCharles PhilipsがクラウドERP提供を宣言して以来、準備を進めてきた。クラウドERPは全社的な姿勢が評価される。昨年の宣言以降準備を進め、本格的に2016年度(2015年5月~2016年4月)に25%をクラウド関係の売り上げとすることを目標とする」と説明した。
クラウド担当チームも設置
インフォアジャパンでは従来のオンプレミス版に加え、クラウド版の提供を開始することで「従来よりも使いやすく、コストをかけることなく導入することが可能となる」(インフォアジャパン 常務執行役員 ビジネスコンサルティング本部 本部長 植木貴三氏)と、より幅広い層への導入が可能となるとの見方を示している。
インフォア製品はオンプレミス時代から業種に特化したERPを提供していることが特徴で「“うちの業種にはこの機能がないと使えない”といった声をフォローする仕様」となっている。
クラウドアプリケーションのCloudSuiteの特徴としては、インフォア自身がクラウド設備を持つのではなく、Amazon Web Servicesをインフラとして活用したこと。コストを抑えられ、低価格でサービス提供、スケールメリットといったプラス効果もあるという。
提供する業種はオンプレミス版で提供してきた業種を踏襲しているが、国内向けには自動車、製造業向けに続き、ファッション業界向け、食品飲料業界向け、中小企業向けを予定している。
中小企業・非製造業拠点向け機能を統合した「Infor CloudSuite Business」は会計や販売、在庫管理、プロジェクト管理機能を持ち、クラウドの特性を生かしてサービス業、グローバル企業の海外販売拠点での早期導入に適したシステムとなっている。1月後半に提供開始を予定しており、税別月額料金は1ユーザーあたり約1万4000円。
従来のオンプレミスユーザーがクラウドに移行するためのプログラム「Infor UpgradeX」を用意。大規模製造業に強みがあった「Infor LN」は「Infor CloudSuite LN」へ、ファッション業界向け「Infor M3」は「Infor CloudSuite M3」へ、製造業や中小企業に強みがある「Infor SyteLine」は「Infor CloudSuite SyteLine」への移行プログラムを用意し、すでに12月26日から提供を開始している。

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今後提供予定のスイートとしては、ファッション業界向けの「Infor CloudSuite Fashion」、食品飲料業界向けの「Infor CloudSuite Food & Beverage」を予定している。CloudSuite Food & Beverageにはトレーサビリティトラッカーが搭載されているなど、業界向け機能を搭載していることが特徴としている。
拡張アプリケーションの日本市場への提供も計画している。SaaS型の顧客情報管理システム(CRM)「Infor CloudSuite CRM」はInfor ERPとのバックオフィス連携機能を持ち、先行する競合製品と比べ、安価で使いやすいことが特徴としている。
「Infor CloudSuite PeopleAnswers Talent Science」は買収してインフォアブランドとなった製品。人事採用ソリューションで、タレントマネジメント機能を持ったものだが、競合製品にはない、行動科学分析に基づいて採用できることと、幹部だけでなく店舗スタッフ、電話応答スタッフなど大人数を管理することが得意で、短期に辞めない人材を採用するために利用できることが特徴となっている。
植木氏は「2016年度にクラウド関係の売り上げを25%とするとともに、2年で100社のCloudSuiteの新規導入、UpgradeXにより1年間で20社の既存ERPからの移行を実現することを目標としている。そのために、社内にクラウドビジネス担当チーム『クラウドソリューション戦略部門』をたちあげ、クラウドERPへのニーズが顕在化している海外拠点を持つ企業、ERP未導入企業、グローバル展開の製造業などに向け、クラウドを含めたハイブリッドERPを提案し、関連ビジネスを強力に推進する」とアピールした。