プライスウォーターハウスクーパース(PwC)とマーバルパートナーズは2月18日、日本におけるディールアドバイザリーの体制強化を目的とし、提携すると発表した。
具体的にはブレイン・アンド・キャピタル・ホールディングスが保有していたマーバルパートナーズの株式をPwCが譲り受け、マーバルパートナーズの社名を「プライスウォーターハウスクーパース マーバルパートナーズ(PwCマーバルパートナーズ)」とする。譲渡によるPwCのPwCマーバルパートナーズ株式保有率は非公開。
PwCで代表取締役社長を務める椎名茂氏
PwCで代表取締役社長を務める椎名茂氏は「マーバルパートナーズは、日本におけるM&A事業の発展に貢献してきた企業であり、きめ細やかなクライアント対応で実績がある。同社がPwCのネットワークに加わることで、PwCグループのディールアドバイザリーサービスが、一層強化されると確信している」とコメントした。
PwCは世界157カ国に拠点を構え、19万5000人以上のスタッフを擁するディールアドバイザリー/コンサルティング専門会社である。
一方、マーバルパートナーズは、その前身が「アビームM&Aコンサルティング」であることから、M&A戦略とその実行、事業支援の分野をサービス領域としている。また、再生支援も専門としており、過去にはカネボウや、産業再生機構によるダイエーへの投資判断も手掛けている企業だ。
椎名氏は、現在日本企業が抱える課題として、「グローバル化を通じた成長」や「事業モデルの先進化への対応」を挙げ、これら課題を解決するためには、M&Aや戦略的提携が必要であると説明する。
「今回の提携で、両社の人材交流や情報共有が密になる。PwCは世界主要国に現地オフィスがあり、クロスボーダーで支援できるのが強み。(両社の提携で)われわれはグローバルなクライアントに対し、M&A戦略から実行後のシナジー効果の実現と、企業価値向上を支援できる」(椎名氏)
PwCマーバルパートナーズで代表取締役社長を務める岡俊子氏
PwCマーバルパートナーズで代表取締役社長を務める岡俊子氏は、提携後の重点的な取り組みについて、「戦略とファイナンスの両視点を融合し、ディール戦略を推進していく。また、PwC再生チームの案件も含め、クライアントの『再生』から『成長』までの企業変革を一貫してサポートしていく」と語った。
また、岡氏は「特に注力する分野」として、M&A業界革新のための人材採用/育成を挙げ、「M&A専任担当者人数を少なくとも2倍にしたい。M&Aは5~10年先のビジョンを考えながら戦略を練る。そうした視野を持った人材を育てることは急務だが、現状はそうした人材が圧倒的に不足しており、育成もしていない。M&A専門人材の育成は日本としても取り組まなければならない課題だ」と指摘した。
なお、今回の提携によるスタッフの出向や転籍、ブランドロゴの統一などは「現時点では未定」(椎名氏)とのことだ。