一方のタイプは、社内のテクノロジを主に管理し、クラウドベンダーのホストの管理から、満足できるレベルのITセキュリティの実現まで、さまざまな任務を行う。もう一方のタイプのCIOは、社内のIT管理タスクの大部分は外注して、他の幹部の顧客対応製品を生み出す能力を高める役割を果たす。後者のタイプは、例えばある日は、CMOと協力して消費者向けスマートフォンアプリを生み出し、その次の日には、最高執行責任者(COO)が倉庫管理用のタブレット向けツールを開発するのを手伝う、ということになるかもしれない。
いずれにしても、テクノロジは企業活動に十分に溶け込み、広く行き渡っているので、手腕のあるCIOであれば、自らの価値を示し、自らの役割の重要性を証明する機会は十分にあるだろう。この転換期を乗り切るのに重要なのは、柔軟性を保つこと、そしてIT購買力の変化を、緩和すべき脅威ではなく、顧客に近づくチャンスと見なすことだ。
エンタープライズネットワークの終末
ITセキュリティとエンタープライズITサービスの提供のために長年採用されてきたのは、セキュリティの高い企業ネットワークを構築するというモデルだった。ITは企業の周囲に、頑丈で鍵のかかった何枚ものドアを備えた、技術的な壁を構築できると、長い間考えられてきた。いったんそれらのドアをうまく通り抜けたものは、比較的障害なく自由に動き回ることができた。われわれが短期間で学んだ通り、そうした壁は比較的容易に破られてしまうので、そのネットワークの内側のデバイスやユーザーの信頼性は十分でなくなってしまう。個別のアプリケーションの周りに壁を築いて、そのレベルでの信頼性を確保するという試みへの移行も起こっている。
大半の企業では現在、公衆インターネットを通じて、電子メールからCRMまでさまざまなサービスにアクセスできるようになっている。この変化は続き、クラウドサービスの普及やリモートワーカーの増加が見られるはずだ。個々のデバイスを管理しようとするよりもむしろ、オープンなネットワークを広く行き渡らせた方が、ユーザーは、防御の固いアプリケーションを利用するようになるだろう。
さらに、デバイスレベルでのセキュリティを取り払うことで、ユーザーは、自分の好きなデバイスで生産的な仕事ができるようになる。ユーザーのERPシステムがクラウドベースで提供されていて、ブラウザ経由で起動するようになっている場合、IT部門は、ユーザーがタブレット、「MacBook」あるいは「Windows Phone」のどれを使ってそのサービスにアクセスしていようとも、懸念する必要はない。
エンタープライズITにおける大きな変化が安定化の兆しを見せていることから、IT部門のリーダーにとっては、今こそが自分の役割を見直し、従来の財務や業務部門以外に協力者を求める完璧な機会である。変化は違和感をもたらし、古いやり方を廃れさせる可能性があるものの、2020年のITは、こうした傾向にうまく乗ることのできるリーダーに、圧倒的なチャンスをもたらすだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。