コンタクトセンターこそ「顧客体験」の柱--CRMイベントにみる不要論の実際 - (page 2)

福田悦朋

2015-02-27 17:30

単なる問い合わせ対応から良質な顧客体験の提供へ

 ピンチをチャンスに変える――。それはそのまま、今日のコンタクトセンターにも求められているようだ。

 小泉氏に続き、フォーラムの演壇に立ったテクマトリックス CRMソリューション事業部長の鈴木猛司氏によれば、コンタクトセンターのオペレーター業務は、音声認識や自動応答技術の進化によって“10年後には姿を消す”との見方があるという。とはいえ、それはあくまでも単純な応答業務に限った話だ。

 「ITによる自動対応だけでは、高度な問題解決やサービスは提供できず、顧客の内面に働きかけて満足を得ること。つまりは“質の高い顧客体験”を提供することは不可能」と鈴木氏は指摘し、以下のように訴える。

 「その意味で、ITの進化はコンタクトセンターのオペレーターの仕事を奪うのではなく、さらなる進化を求めていると言える。実際、顧客体験はこれからの企業競争力の源泉であり、それを強化するには顧客との直接的な接点であるコンタクトセンターの高度化は欠かせない。言い換えれば、企業が競争力を増すためには、コンタクトセンターがより差別化された顧客体験を提供することが不可欠であり、それを実現するためにも、オペレーター業務の一層の高度化、知的生産性の向上が求められている」

 鈴木氏によれば、日本のコンタクトセンターは効率化や業務品質の向上が進み、顧客サイドは「問い合わせに対するオペレーターのスピーディな対応」を当然のことのように感じ始めているという。

 「したがって、差別化された顧客体験を提供するには、顧客対応の的確性やスピードにプラスして“感動”といい意味での“驚き”を顧客に与えなければならない。そのためにも、オペレーターがそれぞれの想像力をフルに発揮できる環境作りが不可欠」と鈴木氏は説く。

 言うまでもなく、このような環境作りにはオペレーターが顧客の問い合わせに余裕を持って、しかも素早く対応するためのITの仕組みも必要とされる。その仕組みを提供し「コンタクトセンターの戦略的価値を高めていく」ことがテクマトリックスの役割であり、使命にほかならないと鈴木氏は話す。

 こうした考え方の下、テクマトリクスではコンタクトセンター業務を支援する顧客情報管理(CRM)システムの新版「FastHelp 5」を開発、1月にリリースした。FastHelp 5は、テクマトリックスが過去約20年間蓄積してきたCRMシステムの経験やノウハウ、技術をすべて注入したプロダクトであり、「抜群の使いやすさ」でコンタクトセンターのオペレーションに「ゆとり」と「集中」をもたらすという。

 鈴木氏からのバトンを受けて、テクマトリックス CRMソリューション事業部の副事業部長である岩元利純氏が演壇に上り、FastHelp 5の強化ポイントを解説したが、それを見た来場者からは、早くも「FastHelp 5はかなり良さそうだ」との声が漏れ聞こえてきた。また、FastHelp 5に対する関心の高さを物語るように、今回の基調講演の終了直後から展示会場には大きな人波が押し寄せ、会場は瞬く間に人で溢れた。

 昨年創立30周年を迎え、国内だけでなくアジア市場の開拓にも意欲的に取り組み、グローバルでの実績を高め始めたテクマトリックスの言う通り、今日の企業にとって顧客接点の高度化や良質な顧客体験の提供は重要な経営課題であり、消費者向けビジネスを展開する多くの企業がコンタクトセンターの戦略的な価値を認め、その強化に力を注いでいる。そうした取り組みを、ITの側面から支えるテクマトリックスの役割は今後ますます重みを増す気配だ。

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