Appleが時価総額1兆ドルに向けて着実に歩を進めているため、同社が勝利したと判断するのは簡単だ。何しろプログラミング言語「Swift」の発表後、わずか数カ月でモバイルアプリ開発者の20%がこの言語を使用するようになったのだ。調査会社RedMonkのアナリストであるStephen O'Grady氏によると、こういった成長は「前代未聞」であり、「iOS」の市場シェアには表われていないiOSの存在感を示唆しているという。
しかし、VisionMobileが8000人以上の開発者を対象に実施した最近の調査では、iOSと「Android」間のプラットフォーム戦争はこう着状態に陥っているという。開発者の数は拮抗しており、興味の焦点はモバイル機器向けアプリそのものの販売から、モバイル機器を用いた「もの」の販売へと変化してきている。
この10年はAppleの独壇場であったが、今後はどうなるのだろうか?その未来にはさまざまな可能性が考えられる。
ゲームオーバー:誰が勝ったのか?
モバイル市場は何年にもわたって、知的財産をめぐる多種多様な訴訟と、真っ向から対立するビジネスモデルが渦巻く、世界で最も予測が難しい市場であり続けている。
Appleは開発者に対して、(開発ツールから、アプリストアによる配備に至るまでの)ひときわ優れたエクスペリエンスを、アプリ市場における高価な価格モデルとともに提供してきている。一方、Googleはいつも通りの戦略、つまりAndroidを無料で解放し、1ユーザーあたり年間6.31ドルで広告を販売するという戦略でこれに応戦している。VisionMobileがまとめているように「AppleはiOSでハイエンド市場に向けてさらに注力しようとしており、Android陣営はそれ以外のあらゆる部分を支配しようとしている」のだ。
この状況では他の企業が入り込む余地などほとんど残されていない。
VisionMobileの調査データによると、開発者の一番人気はAndroidである(開発者の40%が主なプラットフォームとしてAndroidを挙げている)一方、iOSは37%となっている。そして「Windows Phone」(8%)やモバイルブラウザ(7%)などが残りのシェアを奪い合っている(図A)。
図A:プラットフォーム戦争の状況(VisionMobile調査)
2強が際立っている状況にもかかわらず、戦局は停滞しているわけではない。appFiguresのデータによると、2014年にAndroidコミュニティーに参加した開発者の数は、iOSやAmazonのコミュニティーに参加した開発者の合計よりも多い。開発者人口のこのような増加の背景には、Appleが収益に注力している一方で、Googleは市場の創出に注力し、それら新興市場がAndroidに大きく投資しているという状況がある。