三国大洋のスクラップブック

GigaOM創業者の挑発と近藤麻理恵「ときめき片付け」への傾倒 - (page 2)

三国大洋

2015-03-12 07:00

 話が佳境に入るのはここからで、自分では「iPhone 6 Plus」(光学手ぶれ防止機能付き)を使っているMalikは「外付けレンズから自撮り棒まで、スマートフォンの周辺にカメラに関連するローエンドのイノベーションがすでに登場しはじめている」「従来のカメラにWi-FiやNFC(Near Field Communication)を付加したものも見かけるが、いずれもソフトウェアの出来具合や使い勝手が御粗末すぎる(別の時代につくられたもののよう)」「単体のカメラというのはすっかり時代遅れになった感じがする」「かつてのMP3プレーヤーと同様の運命をたどることになる」などと指摘。さらに、次の一行を太書きの大文字で記している。

NETWORK+SOCIAL+APPS=CAMERA

 カメラ付きケータイや「写メ」が生まれた、あるいはいち早く普及した日本。その国民の端くれとしては、聞きたくもない説教を聞かされているようで面白くはないが、これだという反論の材料もすぐには思いつかない。最終的なソロバン勘定、すなわち商売の上手下手を前提に意見を述べるという姿勢には反発したい気持ちもするが、例えばiPhoneのカメラ用CMOSセンサをめぐる取引で、本当はAppleとソニーのどちらが「上手(うわて)を取っているのか」といった話はあいにくとまだ見聞きしたことがないので、ここはひとまず黙ってやり過ごすしかない。

 また、パナソニックからもうじき発売になる「LUMIXDMC-CM1」を指して、Malikは「イノベーションのジレンマに陥った既存陣営が見せる反応の典型例」「カメラ業界の創造的能力が破綻していること(”creative bankruptcy ”)がこの製品によく表れている」などと述べているが、数量限定(国内では2000台限定らしい)で1500ドルというかなり特殊な製品を議論の俎上(そじょう)にのせて、とやかく言うことにも違和感を覚える。

 ただ、これについても「そもそもどういう経緯で開発、リリースされることになったか」などが分からないのでいまのところは何とも言いようがない。

 既存のカメラ(メーカー)にかなり手厳しいMalikは、そのいっぽうでiPhone向けなどのアクセサリーのことをしきりと持ち上げている。例えば「Moment Lens」という外付け式カメラレンズについて、「この製品を使えば、実際にこれだけの写真が撮れるんだから見てみろ」とInstagramにあるギャラリーへのリンクまで張っている。またMomentsと同様にスマートフォンに取り付けて使うソニーの「QXシリーズ」についても「投入のタイミングがちょっと早過ぎた」としながら好意的な評価を与えている。

 スマートフォンが文字通り「肌身離さず持ち歩く」ものとなったいま、Momentsのように「これで十分」("Good Enough")と思えるものが出てきているのだから、「わざわざ大袈裟な高級一眼レフなどを買う人間がどれほど居ようか」と言わんばかりの書きようである。

 電卓や目覚まし時計にはじまり、ラジオやステレオ、携帯音楽プレーヤー(Walkman)、携帯電話、PC、そしてカメラと、iPhoneのような「ポケットに入るサイズのコンピュータ」に機能を飲み込まれた製品群はたくさんある。万歩計のような細かいものにしても、テレビのような大物にしても、そうなるのは時間の問題かもしれない。

 そうしたものの少なくない部分が、かつて「日本のお家芸」などと呼ばれていたことを覚えている者にとっては、Malikの話を読むとなんとも沈鬱な気持ちにさせられてしまう。ただ、何年か前にMarc Andreessenが口にしていた「ソフトウェアが世界を飲み込む」("Software Is Eating The World")ような流れが実際に進んでいるのだから、それも致し方なかろう……。

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