田辺三菱製薬は、約1700人の医薬情報担当者(Medical Representative:MR)が担当先の状況や競合の動向などを把握し、行動できる仕組み作りを目指し、医薬品市場データをわかりやすくビジュアル化する分析システムを整備した。参入市場や競合製品などの動向を迅速に把握し、変化に即応できる経営戦略、製品戦略を立案することが目的という。ウイングアーク1stが3月11日に発表した。
医薬品業界は市場の変化が激しく、環境の変化に即応できる強靭な企業体質への変革が求められる。田辺三菱製薬では、アイ・エム・エス・ジャパン(IMS)提供する医薬品市場情報を利用した市場分析や競合分析などを進めている。IMSの医薬品市場データは、同業界の企業別、製品別の売上金額をはじめMRの活動状況、医師の処方診断状況など市場動向に関わる、さまざまな情報が含まれている。
これまで田辺三菱製薬は、参入市場や競合企業、競合製品などの情報が時系列に登録された巨大な表計算ソフトを手作業で毎月更新。表計算ソフトで全社で共有し、分析業務や会議資料の元データとして活用していた。
だが、データの加工作業に相当な時間を要し、かつ同じ内容が各部署で重複されており、繰り返し最新データに更新するといった作業レベルのものが多く発生していました。過去から利用していた手組みの分析システムも活用していたが、市場や顧客の変化に応じて簡易に仕様を追加、変更できるビジネスインテリジェンス(BI)ツールの必要性を感じていたという。
そこで今回、20社近くのBI製品を比較し、将来的に増加するユーザー数を考慮した結果、約3500人のアクセスに耐えられるツールとして、ウイングアーク1stの「MotionBoard」と「Dr. Sum EA」を採用することにした。
新たな分析システムは2013年5月に、本社をはじめ支店や営業所のスタッフとMRを対象として公開された。新システムは、種類により週次、月次、四半期、半期単位で更新されるIMSの医薬品市場データと社内のSFA活動や実消化などのデータを組み合わせ、約20億件のデータをDr.Sum EAに登録し、MotionBoardでグラフ化する仕組みとなっている。
今回は特に、支店スタッフや営業所長、MRの定着化に注力を注ぎ、市場把握の手順を織り込んだ操作解説書を作成し、約70回、延べ1000人以上に説明会を実施するなどの活動に取り組んだという。現場ユーザーからは、二次加工が不要となり作業負担が軽減されたほか、データを綺麗にビジュアル化することで値のボリューム感や変化の兆しが把握しやすくなったと評価されていると説明している。
iMV(ims Market View)全体システム構成(ウイングアーク1st提供)
田辺三菱製薬では今後、現場からの要望に応じた機能を追加していくほか、社内での定着に向けた活動を継続展開し、MR活動の羅針盤となる分析基盤を目指し推進していく予定。