こうした取り組みを、先頭に立って推進する役目を担ったRobertson氏。その経営手腕が注目されるところだ。
「Linuxを手掛けるSUSEとして、ストレージ分野に進出する」 (ノベル 河合哲也 代表取締役社長)
ノベルの河合哲也 代表取締役社長
ノベルが先ごろ、エンタープライズ向け分散ストレージソフトウェア「SUSE Enterprise Storage」を国内で提供開始すると発表した。河合氏の冒頭の発言は、その発表会見で、同社が手掛けている独SUSEの関連事業として、ストレージ分野に乗り出すことを明言したものである。
ノベルはかねて、SUSEの商用Linuxディストリビューション「SUSE Linux Enterprise」を国内で販売している。SUSEの調査によると、SUSE Linux Enterpriseは、メインフレーム向けLinuxの80%以上、SAP向けLinuxの70%以上、ハイパフォーマンスコンピュータ(HPC)向けLinuxの50%以上と、ハイエンドLinux市場で高いシェアを獲得しているという。
また、SUSEはLinuxと同じオープンソースのクラウド基盤構築用ソフトウェア「OpenStack」の展開にも力を入れている。同社はOpenStackの推進プロジェクト「OpenStack Foundation」のプラチナメンバーとして積極的に活動しており、OpenStackベースのプライベートクラウドソリューション「SUSE Cloud」も展開している。
今回はこうしたLinuxやOpenStackベースの環境のもとで利用可能な“Software Defined Storage”を実現するソフトウェアを新たに投入した形だ。
SUSE Enterprise Storageは、オープンソースの分散ストレージソフトウェア「Ceph」をベースにしており、市販されている汎用のサーバとディスクドライブを使用してコスト効率と拡張性に優れたストレージシステムを構築できるのが特徴である。
ちなみに、CephはOpenStackを手掛けるベンダーやユーザー企業の間で最も人気の高い分散ストレージソフトウェアで、ハイスケーラビリティが大きな特徴だ。
SUSE Enterprise Storageの詳細な内容については関連記事を参照いただくとして、ここでは河合氏の同製品にかける意気込みを記しておきたい。
「これまでストレージというと、専用のハードウェアのことだったが、これからはSoftware Defined Storageの考え方に基づいて、ソフトウェアでストレージを定義する手法が広がっていく。この動きは既存のストレージ市場に大きな変革をもたらすだろう。そこでわれわれもソフトウェアベンダーとして、Software Defined Storageを足がかりにストレージ市場へ打って出ることにした」
こう語る河合氏はさらに、「今後、Software Defined Storage市場が大きく広がっていく中で、われわれがメジャープレイヤーの一角を占められるように尽力していきたい」との決意を示した。Linuxと同様、確固たる存在感を示すことができるかどうか、注目しておきたい。