可能性を検討すべき--CIO、クラウドを最優先項目としてとらえず

NO BUDGET

2015-03-25 07:30

 ガートナー ジャパンは3月24日、「多くのプロジェクトにとってクラウドが有望な選択肢の1つとなっている現在、インフラストラクチャとオペレーション(I&O)部門のリーダーは、これまで以上にクラウドコンピューティングの可能性について検討すべき」との見解を発表した。

 この見解は、米Gartnerが最高情報責任者(CIO)を対象にした調査「Flipping to Digital Leadership: The 2015 CIO Agenda」(旧態を弾く! デジタルリーダーへの道―2015年のCIOアジェンダ―)で明らかになった、I&Oに関連する重要なインパクトの一つ。2800人以上のCIOを対象に調査。これらのCIOが管理するIT支出の総額は3970億ドル、I&O支出は2025億ドルに上る。

 それによると、SaaSプロジェクトについてクラウドコンピューティングを検討さえしていないユーザー企業は全体の9%。IaaSプロジェクトになると、その割合は15%に増加する。クラウドをあくまでも例外時の選択肢や単なるコンセプトとして捉えているユーザー企業の割合が高い一方で、いち早く有望な選択肢の一つとして捉えるようになっているユーザー企業も半数近くに上ると説明している。重要なインパクトとして挙げているのは以下の3つ。

  1. システム設計で社内外両方の顧客に対するシステムのモバイルサポートとエクスペリエンスは現在最も重要な項目の一つであり、I&O部門には優先事項とスキルセットのシフトが必要
  2. CIOは、最新の高度なアナリティクスとITのビジネス価値を評価する指標の必要性を認識しており、新しいシステムと考え方を求めている
  3. I&O部門は、すでに企業のレーダーに捕捉されている“力の結節”後のテクノロジを実装する準備を今すぐに整える必要がある

 1.については、今回の調査からモバイル端末が非常に多くのIT投資にとって主な、もしくは2次的なインターフェースになっていることが明らかになったと説明。コンテキストアウェアなサービスへのニーズの高まりを感じていると回答したCIOは全体の71%という。

 I&Oリーダーにとって、これはモビリティ (移動性) がシステムデザインの最重要項目の1つでなければならないことを意味しているとともに、単にモバイル端末でサービスを利用できるようにするだけでは十分ではないことを意味しているという。サービスは、質の高いモバイル端末のユーザーエクスペリエンスの障害になることなく高い価値を発揮できるようにモバイル端末用に構築されていることが必要と提言している。

 I&Oリーダーは、多様な端末からのアクセスを想定してすべてのアプリケーションを構築する必要があるとともに、モビリティが単なるデバイスやインフラストラクチャの問題ではなく、これらを利用する個人と、それぞれがシステムを利用する際のエクスペリエンスの問題であることを認識しなければならないと説いている。

 2.では、変化するアナリティクス環境に対応するため、I&Oリーダーは予測的アナリティクスのIT基盤を確立する必要があると提言している。複数のアナリティクス製品の実行が可能な並列処理のフレームワークの恩恵でコストは減少していると現状を解説する。

 また、I&Oリーダーはビジネスユーザーと協業して、データ主導で実験を進める必要があると指摘。この例としては、エンドユーザーのニーズへの理解を深めるためにソーシャルリスニングアクティビティを実行することが挙げている。

 ソーシャルリスニングのような新しい情報イニシアティブをサポートする中でI&Oリーダーは非構造化データの管理能力を高め、ビジネスユーザーがこれらのデータから価値を引き出せるようにするとともに、プロジェクトに特化した追加のデータソースや新しいデータソースを探し、知見を獲得できるようにする必要があると提案している。CIOは、ビジネスの前進を促す新たな指標が必要となるため、自部門のアナリティクスに改めて焦点を当てなければならないとしている。

 3.で言う力の結節とは、クラウド、ソーシャル、モバイル、インフォメーションの強固な結び付きを指している。これらは遠い先の話ではなく、すでに到来しているという。今回の調査では、CIOが力の結節後のテクノロジを視野に入れ始めているだけでなく、そのようなテクノロジを積極的に求め始めているという事実も明らかになったとしている。

 力の結節後のテクノロジには、モノのインターネット (IoT)や“考えるマシン”、3Dプリンティング、ロボティクスなどがある。まだ準備を整えていないI&Oリーダーは、自分自身と自部門の両方について、力の結節後のテクノロジの実験、革新、展開のための土壌を確立しておく必要があると提言している。

 ただ、力の結節後のテクノロジには障害が1つあると説明。それは、平均的なCIOは現状に縛られてしまい、なかなか未来に目を向けることができないと説明。今回の調査で3年未満の近い将来に焦点を当てていると回答したCIOの割合は84%となっている。

 新しいデジタルビジネスイニシアティブにはITの才能、リーダーシップ、統合のスキルが不可欠とし、I&Oリーダーは、CIOだけではなくIT環境全体をサポートする方法を見つけ、ビジネスにかける時間を減らすことで機会を育て、最終的な理想としてビジネスの変革を支援する必要があると提言している。

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