古いアプリをのせるのはクラウドではない--競合はアマゾンやSFDC:エリソンCTO

大河原克行 2015年04月09日 14時02分

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 日本オラクルは4月9~10日、東京・有楽町の東京国際フォーラムでイベント「Oracle CloudWorld Tokyo 2015」を開催。同社は「企業が変革に立ち向かうための世界最先端のクラウドに関する情報を成功体験を交えて紹介する」と位置付けている。

 米本社の取締役会経営執行役会長で最高技術責任者(CTO)のLarry Ellison氏や最高経営責任者(CEO)のMark Hurd氏も来日して、基調講演を行うほか、顧客やパートナー企業、開発責任者など130以上のセッションを用意。2万人が来場登録し、30万人がオンラインで参加した。

 Javaの最新動向に関する「Java Day Tokyo 2015」を併催。Java開発のコアメンバーをはじめ、国内のJava専門家からJava SEやJava EEの最新動向のほか、Javaの活用例などについて紹介した。

 初日となる9日午前にはEllison氏が基調講演に登壇。サテライト会場を含めて2500人が来場したという。

 冒頭、挨拶した日本オラクル取締役 代表執行役社長兼CEOの杉原博茂氏は「LarryとMarkの2人が同時に参加するイベントは、海外では日本だけである。今回のCloudWorld Tokyo 2015は、すべてをクラウドに持って行くことを示し、圧倒的なポートフォリオで提供することを示したい」と語った。

Larry Ellison氏
Oracle 取締役会経営執行役会長兼CTO Larry Ellison氏

 Ellison氏の基調講演はクラウドに関する話題に終始した。

 「クラウドとは、クラウドプロバイダーなどが持つネットワークやデータセンターに単にアプリケーションを移行させるものではない。15年前、20年前とまったく違う価値を提供できるものである。クラウドは最終的には勝つと信じている。一人ひとりが発電したり、井戸を自分で掘削したりする必要はないのと同じで、コンピューティングそのものを購入するのではなく、コンピューティングの能力だけを購入すればいい。クラウドは電気や水と同じように公益事業化するのと同じである」とクラウドのメリットを解説したEllison氏は、続けて持論を展開した。

 「だが、古いアプリケーションを単にAmazon Web Servicesに載せるだけではクラウドではない。これでクラウド化したというように騙されたままだと敗者になってしまうのは間違いない。これはクラウドではなくホスティングであり、自分を騙しているに過ぎない」

 企業ITでのクラウドの重要性を説くEllison氏は、SaaS「Oracle Human Capital Management(HCM) Cloud」のメリットを強調した。

 「これからは、重要な2つのアプリケーションがある。1つはHR(人材管理)であり、もうひとつは顧客に対応するものである。21世紀における人材管理のモダンなアプリケーションというのは、最も優れた人材を発掘し、さらにFacebookと同じように全従業員が利用するものであり、またFacebookのように使いやすいインターフェースを持っている。すべてのアプリケーションがモバイル対応であり、ソーシャル対応になっている。SAPやかつてのOracle E-Business Suiteとは異なるものである」

 HCM Cloudのメリットを強調するEllison氏は、「クラウドでの新たなアプリケーションは利用するための教育が不要であり、アップデートも不要である。利用者は情報を登録するだけでよく、短期間に信頼性が高い環境が実現できる。顧客は人材管理のビジネスだけを考えればよく、テクノロジのことは考えなくていい。さらに新たなアプリケーションでは、転職する可能性がある人材を予測し、対策もできる。ITの専門家が不要で、中規模の企業でもHRを導入できる。コスト効率が高く、セキュリティに長けたものを提供するのが、ITの専門家であるわれわれの役割であり、その点はわれわれに任せてもらえばいい。これは大きな変化である」と語った。

競合はAmazonとSalesforce

 Ellison氏は同社のクラウドビジネスの現状にも触れ、「Oracleは、全世界で19の大規模データセンターを運用しており、今年中に日本にも大規模なデータセンターを設置する予定である」と語った。

 「今SaaSでは、Salesforce.comに次いで2位であるが、今年中にはクラウドアプリケーションの売上高でナンバーワンになるだろう。数多くのクラウドサービスを提供しているのがその理由だ。そのうちSaaSでもSalesforce.comを抜くことになるだろう。上位20社のクラウドプロバイダーのうち19社がOracleを利用しており、毎日Oracle Cloudを利用しているユーザーは6200万人以上に上る」

 さらに「Oracleは10年前にアプリケーションをゼロから構築しなくてはならないと考えた。新たな世界へと変わる中で長い時間をかけてクラウドに移行してきた。ERP(統合基幹業務システム)では常にSAPの後塵を排してきたが、彼らはクラウドではほとんど存在しない。われわれの競合は、かつてはIBMやSAPだったが、今はAmazonやSalesforce.comになってきた」と競合との関係が変わってきたという認識を示した。

 「クラウドビジネスは、1年半前にはゼロだったが、今ではこの分野で最も成長している企業であり、HRシステムでは約700社がすでに利用している。瞬きする間にこれだけ成長した。半分はこれまでOracleを利用していなかったユーザーであり、Oracleが使えなかった中規模企業にも利用してもらえるようになった。クラウドによってわれわれのターゲットが拡大している。クラウドによって世界は変化している」


基調講演には日本のシステムインテグレーターも登壇した。(左から)日本オラクル杉原氏、伊藤忠テクノソリューションズ代表取締役社長の菊池哲氏、NTTデータ代表取締役社長の岩本敏男氏、Ellison氏、NEC代表取締役執行役員社長の遠藤信博氏、富士通代表取締役社長の山本正已氏

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