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IoTを活用--半導体クリーンルーム転用の工場で生まれるレタスの妙味

三浦優子

2015-06-03 07:00

 富士通と日本マイクロソフトは“モノのインターネット(Internet of Things:IoT)”領域での協業実施記念として、富士通が運営する工場で生産するレタス「キレイヤサイ」の試食会を5月29日に開催した。

 同工場は従来、半導体を生産する工場だったが、クリーンルームを転用し、「会津若松Akisaiやさい工場」としてクリーンルームのノウハウを生かした低カリウム野菜開発の拠点として2014年8月から事業を展開している。同時にICTノウハウを農業に活用することで、農業の効率化を目指した「FUJITSU Sustainability Solution環境経営ダッシュボード」を導入。Akisaiやさい工場を運営する中で起こる問題点を経営層が認識し、対処する仕組みを導入している。

 4月に発表された富士通とMicrosoftとの協業は、Windows 8.1ベースの富士通製デバイス、IaaS/PaaS「Microsoft Azure」を活用した富士通のPaaS「FUJITSU Cloud A5 for Microsoft Azure(A5 Azure)」のIoTサービス、IoTプラットフォームなどを活用し、製造業のイノベーションを実現することを目指したものとなっている。

 その第1弾として、Akisaiやさい工場で環境経営ダッシュボードを活用し、工場全体の最適化を狙っている。工場内を見える化し、そのデータを経営層が把握することで生産性を最大化するよう取り組んでいる。果たしてクラウドを使ったやさい工場の最適化は、レタス作りにどんな効果をもたらしているのか。

日本マイクロソフトの社員食堂で試食された
日本マイクロソフトの社員食堂で試食された
中澤健一氏
富士通ホーム&オフィスサービス 取締役兼先端農業事業部部長兼先端農業事業部営業部長 中澤健一氏

子どもがバリバリ食べるキレイヤサイ

 会津若松Akisaiやさい工場は従来、半導体のクリーンルームとして使われていた工場をそのまま転用し、レタスを生産している。

 「野菜を生産する工場は全国各地に登場しているが、その中でも最もクリーンな環境で生産された野菜と言えるのではないか。工場でのレタス生産は、通常の農場での生産に比べて生産性が高く、同じ面積の農場と比べ25倍」(富士通ホーム&オフィスサービス 取締役兼先端農業事業部部長兼先端農業事業部営業部長 中澤健一氏)

 クリーンな環境での生産によって他のレタスにはない3つの特徴が生まれたという。クリーンな環境で生産していることからレタスに雑菌が少なく、農薬も使わずに栽培しているために洗わずに食べても衛生的に問題がない。カリウム含有量を80%カットしているためカリウムの含有量が低い。そして菌やホコリの少ない環境で栽培しているため、雑菌が少ないことから長期保存できることだ。

 「味にも癖がないため、これまでレタスを食べなかった子どもがバリバリ食べているといった声が上がっている。洗わずに利用できることで、料理をする人にとっては利便性が高い。カリウム含有量が低いことで、病院などカリウム制限がある人向け販売も始まった。長期保存できることから、4月から世界航海を始めた旅客船“飛鳥”に搭載し、葉物が調達できない環境でも野菜を食べてもらうという試みも行われている」(中澤氏)

会見の前日にキレイヤサイを手にとって食べる、日本マイクロソフト代表執行役社長の樋口泰行氏
会見の前日にキレイヤサイを手にとって食べる、日本マイクロソフト代表執行役社長の樋口泰行氏。レタスは撮影後完食されたという

 こうした特徴が評価され、5月21日現在、全国80店舗で「キレイヤサイ」の名称で販売されている。楽天市場のほかに富士通の子会社が運営する直販サイトなどで販売されている。通販で購入する場合、一番小さい40グラムのレタスが5袋入ったもので1680円という価格となっている。

 このレタス栽培を支えるのが、Azureを活用したIoTサービスだ。工場にIoTを導入し、利用する機器の故障への対応、生産する製品の品質向上などを図る試みは大きな注目を集めている。工場のあらゆるデータを見える化することで、工場の状態を正確に把握し、経営改善に役立てることを狙っている。

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