複数サイロに散在するデータを一元管理--その先に見える可能性とは

怒賀新也 (編集部)

2015-06-10 08:00

 物理サーバやハイパーバイザ、モバイル基盤が稼働するオンプレミス環境から、プライベート、パブリック、両者を組み合わせたハイブリッドクラウドなど、企業が持つシステムが多様化しており、データが散在してしまうリスクが大きくなっている。

 データをバックアップする際も、メール、データベース、アプリケーションの稼働ログなど多岐にわたる環境をサポートすることになる。ややもすると、複数のバックアップ環境が乱立し、それに応じて、データ管理ツールや担当者が必要になる場合も出てくる。


CommvaultのCTOオフィス、プロダクトマネジメント担当シニアディレクターのDon Foster氏。ストレージとデータ管理分野で14年の経験があり、同社には11年前に入社した。エンジニアとしてのキャリアを国際法実事務所でスタートしたという。

 企業の情報システム担当者は、ディスク、クラウド、テープなど自社が抱えるさまざまなシステム環境を横断して、データ保護、アクセス管理、法令順守、データのシェアなどを適宜実施する必要があり、複雑で難しい作業になってくる。

 さまざまな種類のデータを仮想的な1つの環境上で、管理できるツールを提供するソフトウェア企業の1つに米Commvaultがある。Garnerのエンタープライズバックアップソフトウェアと統合アプリライアンスのマジッククワドランドで4年間にわたり「リーダー」ポジションを守っているという。

 EMCやIBM、Symantec、HP、Dellなど大手ベンダーも交えてしのぎを削る同市場で、差別化を図っているという同社CTOオフィス、プロダクトマネジメント担当シニアディレクターのDon Foster氏に聞いた。

単一のインデックス上でデータを管理

 Commvaultのデータ管理アーキテクチャの特徴は、物理/仮想の各サーバ、モバイル、プライベート/パブリック/ハイブリッドなどの各クラウド環境、SaaSなど、多種多様なシステムが持つデータの種類の違いを上位レイヤで吸収し、単一のインデックス上でデータを管理できる点にある。

 データの物理的な格納場所にかかわらず、全データを1つの仮想レポジトリ上に載せるため、データの保護やアクセス、法令順守、共有といった行動を、1つのソースに対して実施できる。

Commvaultのデータ管理アーキテクチャ
Commvaultのデータ管理アーキテクチャ

 従来は、「物理サーバ向け、モバイル環境向け」のように、システムの種類ごとにバックアップを取ることが多く、システム横断的にデータを管理することが難しかったのが実状と言える。

 Foster氏は「EMC、IBM、HP、Dellなど他社も同様の機能を提供しているが、ほとんどが買収製品を組み合わせたもの。すべてを自社開発しているのはわれわれだけ」だとアピールする。

 あるアジアの企業は、データの増加を背景にバックアップ業務を単純化するため、3つにわけて利用していたバックアップ環境をCommvaultの製品に統合した。

 具体的には、12台のバックアップサーバを2台に削減。ストレージとネットワークの利用を40%減らした。データをバックアップするために業務やシステムを停止する時間を指す「バックアップウインドウ」を半減させ、年間で約790万円のコストを削減したとのこと。

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