VMwareが取り組むSoftware-Defined Data Center(SDDC)などの現状について、米VMware Software-Defined Data Center部門 EVP兼GMのRaghu Raghuram(ラグー・ラグラム)氏が来日し、報道関係者を対象に説明した。
Raghuram氏は「クライアント/サーバから、クラウドとモバイルの時代に移りつつある」と切り出す。だが、多くの企業ユーザーは、20年間蓄積してきたものを捨て去ることはできず、いまある技術をモダナイズして、将来への道筋をつくることが必要という。
これを支援することにビジネス機会があり、実現するための具体策が「ワンアプリケーション、エニイデバイス、エニイアプリケーションによるSoftware-Defined Data Centerだ」とした。
米VMware Software-Defined Data Center部門 EVP兼GMのRaghu Raghuram氏
同社では、SDDCをさまざまなアプリケーションを自動化しながら利用でき、管理できる新たなITアーキテクチャと位置づける。データセンター、クラウド、モバイルデバイスのすべてに迅速に展開できる。
「新しいビジネス要求に迅速に対応するため、より優れたセキュリティ、可用性、迅速なサービスの提供とコスト削減を実現するのがSDDC。vSphereによる仮想化を、コンピューティングからネットワーク、ストレージにまで拡張し、データセンターのサービスの構成や管理も実現できる」とする。
また、今年前半には、SDDCに関する数多くの製品を発表。第1四半期に、データセンターの取り組みの基盤であるvSphere 6を発表。vSphere with Operations Management 6、vSphere Virtual SAN 6とvSphere Virtual Volumesを公開し、これらをvCloud Suiteとしてまとめている。
さらに、OpenStackをVMwareの上で稼働させ、コンテナ技術も利用できるようにした。vSphere上に構築したハイブリッドクラウド基盤であるvCloud Airによって、既存のワークロードやサードパーティ製アプリケーションに加え、新しいアプリケーションの開発もサポートする基盤ができ、さまざまなユースケースに対応できるようにする。
SDDCでは、VMware API、OpenSatck API、Cloud Foundry API、Open Container APIを提供。さらに、アプリケーションの保護は、ネットワーク仮想化基盤である「NSX」を通じて提供する。
「CAPEX減少、オペレーション環境の簡素化、マイクロセグメンテーションによるアプリ保護、事業継続の実現、Suiteの提供によるアプリの俊敏性を向上という5つのメリットを提供できる」(Raghuram氏)
さらに、SDDCはスケールアップ、スケールアウトに対応できるのも特徴とする。「SAP HANAの稼働にもSDDCが向いている。中には、大規模なHadoop環境を稼働させている例もある。SDDCは、管理性を高め、セキュリティを担保する。単に統合した環境を提供するのではなく、可用性、セキュリティの両方からアプリを保護することに力を注いでいる」と指摘した。