今週の明言

IBMが説く「企業におけるモバイルアプリ開発基盤の重要性」 - (page 2)

松岡功

2015-08-21 13:26

 一方、小池氏はモバイルアプリ開発プラットフォームの競合状況について、Gartnerが先ごろ発表したこの分野の最新版マジッククアドラントにおいて、IBMがトップリーダーに選ばれたことを紹介した(図参照)。


Gartnerによる「モバイルアプリ開発プラットフォーム」の最新版マジッククラドラント(出典:日本IBMの「IBM MobileFirst Platform」発表資料)

 それによると、確かにIBMがトップリーダーではあるが、Salesforce.comやSAPなどもリーダー的存在としてIBMに肉薄しているようだ。小池氏の冒頭の発言にも象徴されるように、モバイルアプリ開発プラットフォームは今後、すなわち企業ブランドをも左右するビジネスアプリケーションを生み出す基盤となり得るだけに、一層激戦市場となっていくのは間違いなさそうだ。

「安全で快適な交通・道路環境の実現には実態の可視化が不可欠である」
(富士通交通・道路データサービス 島田孝司 代表取締役社長)


富士通交通・道路データサービスの島田孝司 代表取締役社長

 富士通が先ごろ、交通・道路データ分析事業を強化するため、同事業に専門特化した100%出資子会社「富士通交通・道路データサービス(FTRD)」の設立とともに、この分野に精通するコンサルティング会社である地域未来研究所とも共同出資会社「富士通TR・REC研究所(FTRDT)」を設立したと発表した。富士通の新事業企画部門から富士通交通・道路データサービスの社長に就任した島田氏の冒頭の発言は、事業強化の背景について語ったものである。

 富士通は2012年から、スマートフォンのモーションセンシング機能を活用した道路舗装劣化状況診断サービスや、商用車プローブデータ(自動車が移動した緯度経度・車両ID・時刻などを記録した情報)を活用したサービスを提供しており、複数の自治体や道路整備・管理事業者などが活用しているという。

 同社ではこうしたサービスの需要が今後一層高まると判断し、商用車プローブデータの分析と道路補修支援のサービスを提供するFTRDを7月1日に設立。これにより、より迅速な社会インフラ整備の専門家や道路整備・管理事業者、輸送事業者との連携を可能にすることで、新しいサービスの拡充を加速し、事業拡大を図っていきたいとしている。

 さらに、FTRDが70%、地域未来研究所が30%を出資してFTRDTを8月3日に設立。FTRDTでは、富士通およびFTRDが所有するICT活用技術や商用車プローブデータ分析サービスと、地域未来研究所が持つ道路交通に関する知見を融合し、輸送事業者や道路整備・管理事業者向けの新規分析サービスの研究・開発を行っていくという。

 新規分析サービスの具体的な研究・開発テーマとしては、輸送事業者向けに「物流の効率化に向けたデータ分析サービス」「施設の立地の検討に向けたデータ分析サービス」、道路整備・管理事業者向けに「定点モニタリングデータサービス」「道の駅利用分析データサービス」「ヒヤリ・ハット箇所のデータ分析サービス」などを進めていくとしている。

 今回の動きは、いわば富士通による交通・道路分野のビッグデータ活用事業である。なぜ、富士通本体ではなく専門特化した子会社を設立して推進する形にしたのか。会見の質疑応答で聞いてみると、島田氏は「専門特化して事業主体を明確にするとともに、事業のスピードを加速するためだ」と答えた。今後、どのような成果が上がってくるか、注目されるところである。

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