複数のクラウドを適材適所で活用--広島大、IT基盤全体を“連合クラウド”に

NO BUDGET

2015-09-28 15:12

 国立大学法人広島大学と日立製作所は、9月1日から学内基幹システムなどを利用するための広島大学の全学的なIT基盤「電子計算機システム」を日立が提供するクラウド環境へ移行した。今回の移行で広島大学は、IT基盤全体を統合的に管理、監視するとともに用途や必要に応じて最適な環境を組み合わせて利用できるという。

 同システムは、さまざまなパブリッククラウドやオンプレミスの仮想化基盤など特長の異なる複数のクラウドを適材適所で組み合わせて統合的に管理、監視、利用する“フェデレーテッドクラウド”を実現した、全国でも先進的な事例という。

システムの概要
システムの概要(日立提供)

 広島大学では、文部科学省が中心となって進めている、大学などでの研究や教育に関するデータを大学間で共有するための「アカデミッククラウドに関する検討会」、アカデミッククラウド環境の構築に関する研究事業に参画。広島大学でのIT基盤のクラウド化や全学生が自身のPCから大学のクラウドを利用できる環境づくり、日本全国の大学、研究機関などの学術情報基盤である「学術情報ネットワーク(SINET)」など学外システムとの連携を検討してきた。

 こうした背景のもと、広島大学は電子計算機システムのクラウドへの移行を検討する中で、多種多様なニーズに応じたメニューを提供する日立のクラウドを採用することを決定、これにより複数のクラウドの利用と統合的な管理監視が可能なフェデレーテッドクラウドを実現した。

 新たなIT基盤では、従来は個別に構築、管理していた各システムのITリソースを必要な性能やセキュリティレベルに応じて、占用型パブリッククラウド、Amazon Web ServicesMicrosoft Azureなどの共用型パブリッククラウド、オンプレミスの仮想化基盤などから柔軟に選択することが可能となった。具体的には、アクセスの集中が想定される学内基幹システムには高速データ処理が可能な占用型パブリッククラウドを利用し、実証実験時などに一時的なシステム領域の拡張が必要な場合には、短納期、低コストで利用できる共用型パブリッククラウドを利用する予定。

 同システムでは日立の「フェデレーテッドポータルサービス」と「フェデレーテッドクラウド監視サービス」を活用し、各クラウドの一元的に管理、監視。これまで広島大学の職員がシステムごとに対応してきたITリソースの調達業務や複雑なシステムの運用管理業務を効率化すると説明。SINETに接続しており、学術e-リソースを利用する大学、学術e-リソースを提供する機関や出版社などから構成された連合体が利用する、共通的な認証基盤である学術認証連携基盤「学認(GakuNin)」と連携した認証しているため、他大学のシステムとの接続やデータ共有も可能としている。

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