日立製作所は、SAPのビジネスアプリケーション群「Business Suite 4 SAP HANA(SAP S/4HANA)」導入支援ソリューションを10月1日から順次提供している。日立グループ12社の総力を挙げて開発したという。
専門コンサルタントによるコンサルティングや各業種向けに最適化したテンプレートをはじめとする独自ツールを活用し、導入に関する計画策定から運用、保守までを支援するワンストップサービスを提供すると説明。日立では今後、専門コンサルタント約1000人のレベルアップと体制強化を進め、2018年度には1500人規模の体制でS/4HANA関連サービスを提供していく。
SAPが2月から提供しているS/4HANAは、インメモリプラットフォーム「SAP HANA」をデータベースエンジンとしてデータを高速に処理、分析できる。関連する各種システムとのシームレスな連携で企業内に蓄積されたデータを活用して経営や事業戦略へ迅速に反映することが従来以上に容易になったと位置付けている。
今回のサービスでは、SAPアプリケーションを活用した豊富なシステム構築経験や高いスキル、ノウハウを有するコンサルタントが、「コンサルティング」「システムインテグレーション」「アプリケーションマネジメントアウトソーシング」「プラットフォーム」の4つの分野でS/4HANAへの移行や新規導入に関する計画策定からシステムの運用、保守までを全面的に支援する。サービスメニュー概要は以下の通り。
- コンサルティング
ユーザー企業の現在のシステム構成、運用状況を調査して、事業計画や業務内容といったビジネス上の要件に応じたS/4HANA活用方針の検討、将来的なバージョンアップなども視野に入れた具体的なシステム構築の計画策定などを提供する。 - システムインテグレーション
S/4HANAと日立独自のツールを活用してシステムを構築する。具体的には、S/4HANAのシステムの導入方法論「HFusion for SAP S/4HANA」のほか、組み立て製造やプロセス製造などの業務プロセスを反映したテンプレートを活用する。システム画面のカスタマイズなどユーザーエクスペリエンス(UX)を強化、データを分析するための支援ツールも用意している。 - アプリケーションマネジメントアウトソーシング
S/4HANA導入後を効率的かつ効果的に運用、保守するAMO(Application Management Outsourcing)サービスを提供する。すでにSAPアプリケーションを利用中のユーザー企業に対しては、既存システムからS/4HANAへの機能拡張に向けた事前のシステム検証や各種アプリケーションの移行、保守などのサービスを提供する。S/4HANAを新たに導入予定のユーザー企業にも、導入後の機能拡張なども含めて支援する。 - プラットフォーム
S/4HANAが動作するプラットフォームとして最適な製品などを提供する。具体的には、日立のブレードサーバやストレージとHANAを組み合わせ、事前検証を済ませた統合プラットフォーム製品「Hitachi Unified Compute Platform for SAP HANA」やクラウド環境のほか、S/4HANAを活用した概念検証(Proof of Concept:PoC)、システムの先行開発、開発から検証、本番といったシステム導入の各フェーズに対応して必要なプラットフォームリソースなども提供する。
これまでも日立は、1994年にSAPと日本国内におけるパートナーシップ契約、2008年にグローバルサービスパートナー契約を締結し、SAP製アプリケーションをグローバルに展開してきた。2011年にはSAPの本社内に「日立-SAPコンピテンスセンター」を開設し、SAP製アプリケーションに関する最新技術をいち早く検証する体制を整えている。