IDC Japanは10月13日、国内ITサービス市場予測を発表した。それによると同市場は2014年に非常に高い成長率を達成し、2015年に入っても好調を継続しているという。2015年の同市場の前年比成長率は2.7%に達するものとみられる。
国内ITサービス市場 支出額予測、2013年~2019年(IDC提供)
国内ITサービス市場は、金融機関や公共セクターにおける積極的なシステム構築投資に支えられ、2014年には前年比3.9%増と、世界金融危機前の2007年に達成した成長率と並ぶ高い成長率で推移した。
この好調な市場環境は2015年に入っても続き、同年の国内ITサービス市場の前年比成長率は2.7%に達するとIDCでは見ている。金融、公共によるシステム構築需要も継続し、システムインテグレーション、ITコンサルティングなどから構成されるプロジェクトベース市場の成長率は、2014年に引き続き2015年もITアウトソーシング市場の成長率を上回る見込み。
さらに2016年以降も、国内ITサービス市場は堅調に拡大が続くとIDCでは見ている。しかし、成長率は2015年までほどではなく、2014年から2019年にかけての年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は1.9%にとどまると予測している。
この変化は成長率だけではなく、提供するサービス内容にも及ぶとみられる。足元での市場成長をけん引しているのは、主にクライアント/サーバを中心とした「第2のプラットフォーム」に関わるシステム構築だが、今後はクラウド、モビリティ、ソーシャル技術、ビッグデータ、アナリティクス、さらにはIoT(Internet of Things)などの、「第3のプラットフォーム」に関わるITサービス支出が急激に拡大していくと考えられる。
この第2から第3へのシフトについて、対応できないITベンダーは淘汰されていく可能性さえあると考えられ、国内ITサービス市場における第3のプラットフォームへのシフトは、単にサービス内容だけでなく競争環境や顧客との関係性を変えていくと同社は指摘している。
IDC Japan ITサービス/コミュニケーションズ グループディレクターの寄藤幸治氏は、以下のようにコメントしている。
「国内ITサービスベンダーは、競合に先駆けてサービス、顧客、自らのスキルも継続的に見直し、プロセスイノベーションを起こしていくべきである。それによって、顧客にとってのイノベーションパートナーになることができる」