アルプス電気は、グローバルでの市場競争力を高めるため基幹システムをグローバルで標準化する「基幹システム統一プロジェクト」において、データ統合プラットフォームを活用し、データ移行にかかる開発工数とコストを大幅削減した。製品を提供したインフォマティカ・ジャパンが10月15日、発表した。
アルプス電気は世界18カ国に68の拠点を持ち、約2000社の企業に、4万種類超の家電/モバイル機器、車載電装機器向け電子部品/情報機器部品を供給している。
今回の基幹システム統一に向けては基幹業務システム(ERP)パッケージを導入した上で、68拠点を大きく日本、ASEAN、欧州、米州、中国・韓国の5つに分けて段階的にデータの統合を進めることとし、複数拠点に散在するシステムからデータを抽出して統合するためのデータ統合基盤となるツールを検討していたという。
データの移行に伴う開発作業工数の少なさと、大量データを高速処理できるパフォーマンス、インターフェース基盤の信頼性確保といった点を評価し、インフォマティカの「PowerCenter」を採用した。
PowerCenterは企業内の複雑なデータの流れを管理するデータ統合基盤で、主な特徴は以下の通り。
あらゆるデータへのアクセスを可能にする接続性
豊富な接続コネクタにより、メインフレームや業務アプリケーション、各種データベースやクラウドサービスなどさまざまな環境のデータに迅速にアクセスできる。コード変換や加工・集計などの統合処理をした上で、リアルタイムにデータを連携できる。
データの流れを把握できる可視性
テーブル定義やビジネスロジックをメタデータとして統合・管理することで、効率的で柔軟なデータ統合基盤を実現。システムを横断した、企業規模でのデータの流れを可視化する。
開発生産性
GUIベースのノンプログラミング環境で、データソースの定義から抽出・加工までを実行可能。SQLプログラム言語での開発と比較し、3倍以上の開発生産性を実現。
ハイパフォーマンス
マルチスレッド処理によって大量データの高速処理を実現。企業内に散在する多種多様なデータを統合し、複雑な情報の流れを管理することで、より早く的確な意思決定が可能になる。
データ品質の信頼性
開発、テスト、運用の全域にわたり、入力データの傾向や特性をビジネスロジックに照らし合わせて分析することが可能。データプロファイリング機能で、想定外のデータ形式(不正データ)による開発の手戻りを削減する。
今回のようなERPパッケージの導入プロジェクトはデータ移行がコストの大半を占めるが、アルプス電気ではPowerCenterの種類豊富なデータ連携コネクタを活用、データ変換処理と使用頻度の高いロジックのモジュール/ツールを再利用することで、データ移行作業にかかる開発工数を大幅に削減した。特に、データ抽出から確認までの期間は、想定の半分以下で完了したという。
今後は新しい基幹システムをさらに改善し、各拠点とのシームレスなデータ連携を実現させ、メタデータも含めたデータの一元管理による保守/運用の高度化にも取り組む予定。
アルプス電気 情報システム部 課長の志賀真史氏は、以下のようにコメントしている。
「PowerCenterはGUI(Graphical User Interface)ベースのノンプログラミング環境で操作が容易です。また、データ変換処理と使用頻度の高いロジックをモジュール化して登録し複数のワークフローで再利用できるため、開発工数が大幅に削減されました。当初の想定より開発生産性が大幅に向上したことで、コスト削減も実現しました」