税理士や社会保険労務士への委託か民間業者への委託で考える
これまでご覧になったようにマイナンバーの取り扱いを中小企業が内部で対応する場合は、収集から提出までのプロセスで、安全管理面で大きな負荷を負わざるをえません。
外部委託することでその負荷を軽減することも選択肢として存在します。マイナンバーの取り扱いを外部委託する場合、2つの選択肢があります。
ひとつは、税理士や社会保険労務士などマイナンバーが必要となる税や社会保障分野のプロに委託する方法、もうひとつはマイナンバー管理に特化したサービスを提供する民間業者に委託する方法です。
まず、確認しておかなければならないのは、外部委託したからといって企業が従業員などのマイナンバーの管理責任を免れるわけではないことです。一義的な管理責任は中小企業の側にあり、そのため委託する場合、委託先の監督義務も負わなければなりません。
したがって、企業内でマイナンバー取扱責任者や担当者を決めるなどの組織的安全管理措置や担当者の教育など人的安全管理措置を講じたうえで、信頼のおける委託先を選定しなければなりません。
税理士や社会保険労務士へ委託する場合
手書きで給与計算をおこなっている中小企業では、源泉徴収票作成などの年末調整業務から法定調書の作成まで税理士に委託し、社会保険関連の手続きは社会保険労務士に委託しているケースが多くみられます。
また、PCで毎月の給与計算は企業側でおこなっていても、年末調整から法定調書作成は税理士に、社会保険関連の手続きは社会保険労務士に委託しているケースもあります。既に、マイナンバーの記載が義務づけられる書類の作成業務を税理士などに委託している場合は、マイナンバーの取り扱いもそのまま委託するケースが多いようです。
この場合、税理士や社会保険労務士はそれぞれの分野のプロとして、マイナンバーの取り扱いについても先行して準備しているはずですから、組織的な安全管理措置や人的な安全管理措置についても、相談しながら進められるメリットがあります。
一方、実際のマイナンバーの取り扱いでは、税理士や社会保険労務士が利用しているシステムによって、中小企業側にもそれなりの役割分担が求められることになります。
外部委託するのであれば、中小企業として負荷が少ないのは委託形態です。税理士や社会保険労務士に委託する場合は、中小企業と税理士や社会保険労務士との間でどのように連携することになるのか。また、税理士や社会保険労務士がどのようにマイナンバーの保管・利用・提出を行うのか、そのプロセスでの安全管理措置は十分かなど、早めに確認しておきたいポイントとなります。