米Oracleは10月25日、米サンフランシスコで年次カンファレンス「Oracle Open World 2015」を開幕した。同日の夕方には経営執行役会長兼CTO(最高技術責任者)のLarry Ellison氏が基調講演に登場し、Oracleのクラウド戦略について語った。
Ellison氏はこれまでの宿敵IBMとSAPは「クラウドでは敵ではない」とし、クラウドがベンダーの新旧交代をもたらしていることを印象付けた。では、Oracleはどう戦うのか? 6つのポイントから説明した。
IT業界屈指のイベントであるOracle Open World。今年は141カ国から6万人が参加、モスコーニセンターを中心にサンフランシスコ市内の18箇所で2500以上のセッションが開かれる。
25日夕方にスタートしたEllison氏のスピーチは、このところのOracleのフォーカスであるクラウドの話が中心となった。
経営執行役会長兼CTO(最高技術責任者)のLarry Ellison氏
なぜOracleはSaaS、PaaS、IaaSをそろえるに至ったのか
Oracleはオンプレミスの世界で現在の地位を築き上げたソフトウェアベンダーで、Ellisonは一時期「クラウドはハイプ」と言ったこともあった。しかし数年前からクラウド強化にシフトしており、2014年のOracle Open WorldからIaaS、SaaS、PaaSと3種類のクラウド戦略を本格的にプッシュしている。
その経緯についてEllisonは、10年前の「Fusion」にさかのぼって話した。「クラウドに載せるにあたって、オンプレミスとクラウドが同じソースコードが動く必要があると気がつき」、Fusion Middlewareプロジェクトをスタート。すると「データベースそのものも、クラウドではマルチテナントなどまったく違う要件になる」と気がついたという。
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つまり、SaaSを進めるにあたって、拡張のための基盤、アプリ統合のための基盤が必要になることから、PaaSが必要と気がついたのだという。10年前といえば、Amazon Web Servicesが「Amazon EC2」を開始した年だ。
このようにしてSaaSからPaaSへと拡大したところ、今度はIaaSが必要と気づいた。Oracleのデータベースをクラウドで利用する顧客は、OracleのSaaSだけのためにPaaSを利用するのではなく、既存のアプリも動かしたい、Java以外の言語やNode.jsなどの技術も利用したいというニーズがあるためだ。そこでIaaSにも広げることにした。