Oracle OpenWorld

クラウドでIBMとSAPは敵ではない--米オラクルのエリソンCTO

末岡洋子

2015-10-26 17:19

 米Oracleは10月25日、米サンフランシスコで年次カンファレンス「Oracle Open World 2015」を開幕した。同日の夕方には経営執行役会長兼CTO(最高技術責任者)のLarry Ellison氏が基調講演に登場し、Oracleのクラウド戦略について語った。

 Ellison氏はこれまでの宿敵IBMとSAPは「クラウドでは敵ではない」とし、クラウドがベンダーの新旧交代をもたらしていることを印象付けた。では、Oracleはどう戦うのか? 6つのポイントから説明した。

 IT業界屈指のイベントであるOracle Open World。今年は141カ国から6万人が参加、モスコーニセンターを中心にサンフランシスコ市内の18箇所で2500以上のセッションが開かれる。

 25日夕方にスタートしたEllison氏のスピーチは、このところのOracleのフォーカスであるクラウドの話が中心となった。


経営執行役会長兼CTO(最高技術責任者)のLarry Ellison氏

なぜOracleはSaaS、PaaS、IaaSをそろえるに至ったのか

 Oracleはオンプレミスの世界で現在の地位を築き上げたソフトウェアベンダーで、Ellisonは一時期「クラウドはハイプ」と言ったこともあった。しかし数年前からクラウド強化にシフトしており、2014年のOracle Open WorldからIaaS、SaaS、PaaSと3種類のクラウド戦略を本格的にプッシュしている。

 その経緯についてEllisonは、10年前の「Fusion」にさかのぼって話した。「クラウドに載せるにあたって、オンプレミスとクラウドが同じソースコードが動く必要があると気がつき」、Fusion Middlewareプロジェクトをスタート。すると「データベースそのものも、クラウドではマルチテナントなどまったく違う要件になる」と気がついたという。

 つまり、SaaSを進めるにあたって、拡張のための基盤、アプリ統合のための基盤が必要になることから、PaaSが必要と気がついたのだという。10年前といえば、Amazon Web Servicesが「Amazon EC2」を開始した年だ。

 このようにしてSaaSからPaaSへと拡大したところ、今度はIaaSが必要と気づいた。Oracleのデータベースをクラウドで利用する顧客は、OracleのSaaSだけのためにPaaSを利用するのではなく、既存のアプリも動かしたい、Java以外の言語やNode.jsなどの技術も利用したいというニーズがあるためだ。そこでIaaSにも広げることにした。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    ChatGPTに関連する詐欺が大幅に増加、パロアルトの調査結果に見るマルウェアの現状

  2. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  3. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  4. セキュリティ

    いま製造業がランサムウェアに狙われている!その被害の実態と実施すべき対策について知る

  5. セキュリティ

    ランサムウェア攻撃に狙われる医療機関、今すぐ実践すべきセキュリティ対策とは?

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]