「SaaSビジネスを展開しようとしたら、プラットフォーム(PaaS)が必要と気がつき、プラットフォームビジネスを展開しようとしたらIaaSビジネスが必要だと気がついた」とEllison氏、このようにしてSaaS、PaaS、IaaSをそろえ、現在に至る。
このようにOracle自身が変革を遂げる一方で、同社が宿敵として長年戦っている競合には変化がみられるという。アプリケーションでは、ライバルSAPではなく、「Salesforce.comやWorkdayが競合」とEllison氏、インフラではAmazonであり、ここでもかつてのライバルIBMはみかけないという。
長年のライバルのうち、唯一IaaS、PaaS、SaaSで戦うのはMicrosoftだとEllison氏。「この20年間、Oracleが注意深く動向を追ってきた最大の競合3社のうち、SAPとIBMはクラウドでは存在しない。われわれはもはや関心すら払っていない」と切り捨てた。
オンプレミスはあと数十年はなくならない
ではOracleはどうやってクラウド戦略を進めていくのか。
Ellison氏は、「Oracle Cloud」の特徴として6つを挙げる。1)コスト、2)信頼性、3)性能、4)標準技術、5)互換性、6)セキュリティだ。例えばコストでは、「AWSに匹敵するか下回る価格」と意気込むが、これだけでなく自動化による人的エラーの削減、容易に使えることで生産性のアップが図れるとする。
Exadataなどのインフラ技術を持つという点で大きな差別化とする性能では、インメモリ、インフラッシュ型カラムナデータベースであるExadataだけでなく、ミドルウェアでもインメモリによる性能強化が図れ、さらにはスケールアウト手法によりオンデマンドで性能とキャパシティを追加できるという。
企業の現実に目を向けた特徴が標準と互換性だ。SQL、Hadoop、NoSQL、Dockerなど「すべてサポートする」とEllison氏。MicrosoftやAWSなど他のパブリッククラウドに移行でき「ロックインはない」という。

ロックインはないと強調。
互換性は、パブリッククラウドとプライベートクラウドを同一画面上で管理でき、パブリックとプライベートクラウドの間を簡単にライブマイグレーションできるという。
「オンプレミスはクラウドより小さくなる日がくるだろう。だがなくなるまでには数十年かかる。それまでわれわれはサポートしなければならない。スムーズに(クラウドに)移行するには互換性は不可欠だ」と述べた。
6つ目のセキュリティについては、“常時オン”がキーワードで、何もする必要がない状態を目指す。Ellison氏はこの日、「これまでどちらかというと後回しになりがちだった」セキュリティが「大きな問題になっている」と認めた。
「セキュリティをスタックの下に入れていくことで大きなメリットを得られる」としたが、詳細は会期中3日目の基調講演で取り上げる予定とのこと。
Oracleのクラウド製品はこれらの特徴を組み込んでおり、SaaSの「Oracle Cloud Applications」、PaaSの「Oracle Cloud Platform」、IaaSの「Oracle Cloud Infrastructure」の3つがお互いにきちんと動く「統合クラウド」で構成される。