ローコード革命
ソフトウェア開発が、どんな形態であっても常に優れたエンジニアの能力を必要するかどうかについては、依然として激しい議論が交わされている。しかし開発スキルを持つ者の多くは、スキルを持たない者が、役に立つ新しいアプリケーションを実際に作ることについては懐疑的だ。
しかし、この2年ほど「ローコード」(Low Code)プラットフォームと呼ばれるものの人気が高まっており、興味深いグレーゾーンが生まれていることについては、ほぼ異論はない。この成功の源泉は、イベント処理とデータフローに基づく、極めてシンプルでありながら強力なモデルが採用されていることにあると考えられている。このモデルは、ほぼ誰にでも理解できるほど簡単でありながら、実際のコーディングを必要としない。
この種のプラットフォームの例は、「IFTTT」や(If This Then That)や「Skyvia」のような一般消費者向けソリューションから、明らかによりエンタープライズ向けの「Zapier」「QuickBase」「Mendix」などまで、枚挙にいとまがない。
ローコードアプケーション開発が可能になったのには、いくつかの要因がある。要因の1つは、多くのソフトウェアベンダーが提供するオープンAPIの大幅な増加だ。その数は過去18カ月間で2倍になっており、今では1万を超えるAPIが提供されている。これによって、重要なアプリケーションデータが開示され、既存の資産の上に新たなビジネスアプリケーションを構築することが可能になった。これは、再利用と統合の新たな形だ。新しいローコードアプリによって、大量のコアコードを再生産しなくても(これにははるかに専門的な能力が必要となる)、重要なビジネスアプリケーションを結びつけることができるようになった。
第2の要因は、ユーザー定義アプリケーションに利用できるモデルが見つかったことだ。IFTTTやZapierなどのソリューションでは、APIフィードへの新規データレコードの通知などのイベントを、ユーザーが定義した一連の手順(そのレコードを他のシステムにコピーする、別のアプリケーションのAPIを呼び出すなど)を実行するトリガとして使用している。Mendixなどのソリューションでは、UXの定義や、アプリケーションロジックの定義、データの結びつけを行うのにドラッグアンドドロップのインターフェースを用いている。
これらを組み合わせると、例えば(1)CRMシステムに新たな顧客レコードが出現したときに、(2)その顧客にあいさつメールを送信し、(3)1週間後に電話をかけて話を聞くというスケジュールをカレンダーに追加する、といったような一般的なシナリオを実行するソリューションを、簡単に定義することができる。