世界トップレベルの企業と組める理由
PFNが世界のトップレベルの企業と組める技術力の高さを示す出来事がある。西川社長によると、トヨタの自動運転チームにPFNのディープラーニング技術力を紹介したところ、「すぐに一緒に研究にやりましょう」となり、プロジェクトがスタートしたという。産業用ロボットに機械学習を取り入れる構想を持つファナックとは、話し合いを15年早々に開始し、同年6月に基本合意に達したという。
しかも、「対等に研究開発する深い提携」(西川社長)を結ぶ。両社で研究開発の成果を持つビジネスパートナーの関係ということ。「AIの研究開発は、数カ月で成果を出せるようなものではない」(同)。密に連携し、お互いの強みを生かせるよう試行錯誤を繰り返しながら、実用化に一歩一歩近づけるもの。なので、コミュニケーションが重要になる。短期間で成果を求める企業との提携はありえないという。
もう1つある。米グーグルが15年11月にディープラーニングフレームワークをオープンソース化し、公開したこと。実は、PFNとPFIはその5カ月前の6月に自社開発したディープラーニングフレームワークのオープンソース化に踏み切っている。
「AI単体では差別化の要素にならない」(西川社長)からだ。フレームワークはプログラミング言語と同じようなもので、より多くの技術者に使ってもらうには、オープンソース化は欠かせなかったという。「手法で勝負するのは限界があるので、ネットワークなどと組み合わせていく」(西川社長)。
「グーグルは当社を意識しているようだが、勝てる自信はある」と西川社長は強気だ。社員30人強の西川社長が率いる先端技術の応用開発軍団が、日本の製造業の生産性向上や価値創出などにどう貢献するのか、注目している。