この数年、エンタープライズ向けオンラインコミュニティ市場では大きな動きは起こっていないが、Salesforceの「Community Cloud」は、いくつかの理由でこの分野で重要な存在になりつつある。
かつて、オンラインコミュニティ向けプラットフォームの分野は、「Drupal」や「Joomla」などのオープンソースプラットフォームがほぼ独占していたが、時間が経つにつれて、この分野は大きく進化し、成熟した。これは、使われる技術の面でも、標準的だと見なされる機能の面でも、積極的にプラットフォームを提供する組織の面でもだ。筆者はこの分野を10年近く追いかけてきたが、利害関係者の関係を維持したり、関係者間で協力してものを生み出したり、従来よりもスケーラブルで費用対効果の高い形で重要な仕事を進めたりすることを目的として、企業がデジタルコミュニティを形成することが多くなってきている。
一般的に言って、コミュニティの運営は技術的な面から言えばそれほど困難なものではなく、むしろ難しいのは人間関係だ。このため、周辺領域では常に新たなプレイヤーが登場し続けているものの、エンタープライズ向けコミュニティソフトウェア市場の中心は、着実に成熟の初期段階に入っている。
この業界はこの数年比較的安定した状態にあったが、この業界で重要な企業であるSalesforceが、この状況を大きく揺るがし始めている。同社が5年前に導入したプラットフォーム「Chatter」はどちらかと言えば副次的な位置づけだったが、今回は違う。
効果的なプラットフォームを必要とするオンラインコミュニティ
初期の段階では、デジタルコミュニティがどんな成果を生み出すかは誰にも分からなかったが、さまざまな利害関係者との関係の維持や、組織内および組織間で共通の価値を生み出すために役立つことが分かってくるにつれて、1つのことが明らかになった。よいコミュニティプラットフォームは成功の可能性を高め、最高のプラットフォームは成功を決定的なものにすることさえある、ということだ。
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オンラインコミュニティの成熟が求められるようになり、企業が真剣にソーシャル的な関与への投資を始めると、プラットフォームは次第にオープンソースソリューションから、「Lithium」や「Jive」などの商用SaaSプラットフォームに移行し始めた。主に熱心なユーザーで構成されていた初期のコミュニティとは異なり、洗練されたエンタープライズコミュニティには、より進んだ機能が必要となる。必要とされるのは、例えば、商取引や顧客対応などの特定のビジネスユースケースのサポート、複数地域での運営をサポートする機能、決まった管理タスクの自動化、ビジネス水準の高品質で応答性の高いユーザー体験、ガバナンス機能、およびその他のサポートやメンテナンスなどエンタープライズITで標準的に必要とされる機能などだ。