IoTのフォース適性
スター・ウォーズでは、フォースは銀河系を一つに繋ぐものであり、その習得は難しいとされている。技術の世界ではIoT、モノのインターネットと呼ばれるものが、こういった連携の仕組みにあたる。
IoTのほとんどは2016年もしばらくは引き続き実験段階に留まり、導入を宣言するベンダーも実際に製品がどういうものになるか明確にできるところは限られると思われる。しかし2016年末までには付加価値の高いIoTの使用事例が登場し、2017年に入るとベンダー各社が便利なソリューションを商品化し始めると考えられる。
強力なデータスナッキング(小容量のデータを数多く取り込むこと)モデルは、自宅だけでなく職場でも見られるようになっていくが、エンタープライズにおけるIoTイノベーションによって、開発者は単に既存のアプリを新しいプラットフォームに移植するだけでなく、ビジネスプロセスの再考を要求されることになるとも予測される。これは発明と惰性の戦いだ。
クラウドシティの統治権
オリジナルのスター・ウォーズ2作目『帝国の逆襲』の大半は、ランド・カルリシアンのクラウドシティを舞台としている。クラウドシティは密輸業者達が暗躍する統治のあいまいな独立国家でしたが、そこには帝国が求める知識と資産があり、その点において「クラウドコンピューティング」とも似ている。
2015年にはクラウドの統治権争いによって、欧州裁判所がセーフハーバー協定無効判決を下すという事態が発生した。2016年には、こういったクラウドデータへの詮索や監視がさらに厳しくなることが予想される。規制当局は対応を検討し、その動きによっては、クラウドベンダーのスケーラビリティやイノベーション力に影響する可能性もある。これは規模と統治権の戦いだ。
内なる平和
心の平穏に達していない者は、真の意味でフォースを活用することはできない。2016年にはモバイルコミュニティ全体でこのような心の平穏に達することができるかといえば、どうやら無理そうで、技術の急激な変化、ユーザーニーズの進化、アプリの断片化が今後も続くだろう。
CIOはモバイル管理において中立性を維持することがミッションにおける重要ポイントだと理解し、エンドユーザーに対して選択肢を提示し、ベストオブブリード(分野ごとの最適なベンダー)のソリューションを提供しなければならない。選択肢を限定してしまうと、ユーザーコミュニティは独自にソリューションを模索することになり、いつしかシャドーITを促進する要因となってしまう。これはベストオブブリードと同一ベンダーの戦いだ。
以上のように、2016年はITにとって厳しい年になると予測される。モバイルとクラウドの普及により、CIOは情報セキュリティ、ポリシーの設計、技術評価、ライフスタイル管理の点でアジリティの高いモデルを採用せざるを得なくなっていくが、先進的な組織でさえ30年間培ってきたプロセスとマインドを変えるのは容易なことではない。そのため予測では、勇気を出してこの進化に取り組み、新たなアプローチをオープンに検討することを勧めている。
「そうすれば年末年始には新しいスター・ウォーズ映画を観に行き、気分も新たに2016年――エンタープライズモバイルトランスフォーメーション元年――を迎えることができるでしょう」(リジェ氏)