モバイルアイアン・ジャパンは、2016年のエンタープライズモバイル予測について発表した。
米MobileIron戦略担当バイスプレジデント、Ojas Rege氏は、エンタープライズモバイルの現状を公開されたばかりの映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』にちなんで、「モバイルフォースが覚醒した」と説明、「2016年は戦いに満ちた年となるだろう」と予測している。
モバイルフォース(モバイルアイアン提供)
予測では、モバイルフォースの覚醒に伴ってITディスラプション(ITによる既存モデルの破壊)が生じており、2016年には以下のようなさまざまな摩擦が生じてくるとした。
反乱同盟軍vs帝国
エンタープライズITの世界における大きな戦いが、モバイルとデスクトップチームの間で展開される。きっかけとなるのはWindows 10で、組織はエンタープライズモバイル管理(EMM)ソリューションを導入し、次世代のラップトップやデスクトップのセキュリティを確保できるようになる。
従来のアプローチよりセキュリティ、アジリティ(機敏性)、コストパフォーマンスの点で優れていることから、今後このアプローチへの移行が進むとみられる。ただし、既存のデスクトップ運用を混乱させることにもなるため、「反乱軍」であるモバイルと、「権力者」であるデスクトップチームの間に技術面や予算面、また組織的に摩擦が生じてくる。これはモダンvsレガシー、すなわち新旧の戦いでもある。
アイデンティティ(ID管理)の対立
ジェダイとシスのどちらに傾くのかというアイデンティティの変化は、スター・ウォーズの注目点の1つ。エンタープライズでも、多くのベンダーやアプローチを巻き込んで、アイデンティティの戦いが勃発している。
主なプレイヤーはMicrosoftとGoogleで、両社ともに、アイデンティティ(ID管理)がユーザーコミュニティに参加するサービスの基盤となると信じている。
例えば2015年、Microsoftは、Googleの「Android for Work」をほとんどサポートしなかった。その理由の1つが、Android for WorkによってGoogleアイデンティティが企業に入り込まれるという考えにある。つまり、エンドユーザーのアイデンティティをつかむための戦いでもある。この戦いは今後も長く続き、2016年には両社の対立がより鮮明になると予測される。
ボバ・フェットとモバイル・ハッカーの増加
オリジナルのスター・ウォーズ3部作では、暗い過去を持つ登場人物がキャスティングされることが多く、ハン・ソロのように善人になるケースも、逆にボバ・フェットのようなケースもある。
モバイル分野でも悪者が増え、2015年にはStagefright、KeyRaider、XcodeGhost、YiSpecterといった一連のエクスプロイトに代表されるような、モバイルマルウェアの被害がかつてないほど増加した。
2016年もハッカーはさらに巧妙化して、「信頼できる」アプリに見せかける方法を編み出すと考えられる。これに対し、特にAppleはデバイスへのアプリ配信に関する信頼性を今後も高めていくとみられ、例えばプライベートAPIの利用を非常に厳格化することが予想される。これはOSとハッカーの戦いだ。