IBMの「Watson」、さらなる活用に向け連携強化--糖尿病ケアに「Pepper」の知能も

Rachel King (ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2016-01-08 13:48

 ラスベガス発--この2016年、IBMはコグニティブコンピューティングによる学習能力を備えたスーパーコンピュータ「Watson」をさらに強力なものに育て上げ、さらに多くの場面で利用していくつもりだ。

 2016年はWatsonにとって、今回のCESでも大きく取り上げられた「モノのインターネット」(IoT)によって可能になったさまざまな新たな協力関係を通じて大きく動く野心的な年になりそうだ。

 米国のクイズ番組「Jeopardy!」で有名になったWatsonを、人間の生活の中で使われるようにするための最初のステップは、Watsonを家の中に送り込むことだ。

 IBMはこれまでに、さまざまな実験的なアプリによって、少しずつ進歩している。例えば、食をテーマにした有名雑誌「Bon Appetit」との2015年のコラボレーションで、同誌が1年にわたって蓄積した何千ものレシピのライブラリをオンライン化してデータベースに取り込み、食の革新を起こそうとする試みもその1つだ。

 しかしWatsonを従来の家電と結びつければ、機械学習の機能についての理解もより早く広まるかもしれない。IoTの進展によって、多くの家電がネットワークにつながるようになっている。

 WhirlpoolはIBMと連携し、Watsonのコグニティブアナリティクス、データ管理および保護サービスを、Whirlpoolのネットワークに接続された家電に活用する予定であることを発表した。この取り組みのシナジー効果をさらに高めるため、同社は「IBM Cloud Business Solutions」を利用し、家電から得られるリアルタイムデータを分析することで、顧客の利用状況に基づいて、顧客独自のニーズに応じたものなど新たな機能を導入していくという。

 IBMは、Watsonで改善される分野の1つとして、医療の分野にも長年取り組んできた。CESでは、医療の中でもフィットネスが毎年大きく取り上げられてきたが、IBMはUnder Armourとパートナーシップを組み、この分野にも進出している。

 この協力関係はまだ準備段階だが、将来Under Armourのアプリ「Record」でWatsonが利用される計画だという。このアプリは、睡眠時間から、ホットヨガのレッスン中に燃焼したカロリーまで、健康とフィットネスに関するほぼあらゆる種類の情報を収集するものだ。

 Under ArmourとIBMは、Watsonで活動と成果の傾向や、食料摂取量の記録、栄養管理、天気がユーザーのトレーニングに与える影響まで、さまざまな情報を追跡することで、アプリのフィードバックを大きく改善できると考えている。

IBMは「Watson」をソフトバンクのロボット「Pepper」に組み込むほか、ウェアラブルデバイスを利用した医療向けアプリの分野にも踏み出す。

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