UXデザイナー?スペシャリスト?
組織によっては、UXデザイナーと呼ばれる人たちもいるだろう。UIデザイナーを兼ねているかもしれない。
世間を見渡すと「レベルの高いUIデザイナー」「心地よいUIを作るUIデザイナー」といったような意味合いや認識で UXデザイナーと呼んでいると思われるような例も見受けられる。「UXデザイン」とはもちろん UIデザインの範囲だけでは終わらない。
何度も繰り返している通り、UXは直接「設計」し、デザインできるものではないので、細かいようだが、UXに関する事柄を扱う人は「UXデザイナー」よりも「UXスペシャリスト」などと呼ぶほうが適切かもしれない。
基本的に必要なのは、人間の認知や高次の心理に関する知識と、ユーザーだけでなく環境なども含め観察、洞察、想像する力である。

UIデザイナーにも多様な知識が求められるが、UXスペシャリストにはさらに幅広い知識や経験が求められる。また、より全体を見渡す俯瞰的な視点も求められる。「人間中心設計(Human Centered Design: HCD)」という概念を提唱するNPOの人間中心設計推進機構が認定している「人間中心設計専門家」の資格なども参考になるであろう。
総合的な観点で見る人
1つのプロジェクト、製品、サービスの開発には、UIやUXの観点で全体を見る人が必要である。細かい部分を担当する UIデザイナーや UXスペシャリストも全体を意識せねばならないが、「まとめる人、全体のバランスをとる人」 (プロデューサー、ディレクターなどと呼んでもよいかもしれない)は明確にしておくべきである。
その役目を担うのに必要な技能や素養は、UIデザイナーやUXスペシャリストに求められるものと基本的には同じである。なので、個々の部分などを担当するUIデザイナーやUXスペシャリスト(特に後者)がこの役目を兼ねるということもあるだろう。
特に小規模なプロジェクトであれば、1人の担当者が UIデザイナー/UXスペシャリスト、全体を俯瞰しまとめる役目の全てを担うことも多いだろう。
プロジェクトの規模が大きくなると、まとめる役目を専任で担当する人を置いたほうがよい場合が増えてくる。プロジェクト、製品、サービスをまたがってUIや UXの観点で統一性を持たせるにはさらに広く見渡す役割の人が必要である。
組織全体を見渡す人も必要となろう。組織によってはそのために Chief Design Officer(CDO)、Chief Experience Officer(CXO)といった高位の役職を置くケースも出てきている。それだけUIやUXの重要性の高さが認識されているということでもある。
それらの役職を設けることで、UIやUXの向上を推進/促進するための意思統一を図ることもできる。