2015年のサイバー犯罪は記録的、ランサムウェアが進化した:ウェブルート - (page 2)

阿久津良和

2016-04-20 13:35

 Bacher氏はサイバー攻撃に用いられるIPアドレスについても、1日に検出するIPアドレス数が2014年の8万5000から10万に増加したと説明する。累計で3200万件の不正IPアドレスを発見し、2015年の傾向として米国が最大のブラックリストメンバーだが、ロシアや中国が減ると同時に日本での検出が6%に上昇したという。

 その理由としてIPアドレスと位置情報をひもづけたデータベースから位置情報を判定するIPジオロケーション技術が効果的だったと説明した。サイバー攻撃内容はスキャナーが53%、プロキシが41%と大半を占めている。

 フィッシングサイトに関しても、「無害なウェブサイトにもリスクがある」と強調した。リスクの高い国にいるサイバー攻撃者が地域によるフィルタリングサービスでブロックされることを回避するため、信頼性の高い国で不正サイトをホスティングするからである。

 調査結果によると米国が30%、中国が11%と多いが、ここに日本は含まれていない。高リスクURLカテゴリトップ10には、マルウェアサイトやスパム関連サイトが並ぶ中、ビジネス&経済、eコーマスサイトなどが含まれていた。これらの結果から、一見安全に見えるURLでも危険なリスクがあると説明している。

 ユーザーが1年間にゼロデイフィッシングサイトから攻撃を受ける確立は約50%と、2014年の30%から大きく上昇していることも強調した。フィッシングサイトがなりすます企業(=被害者)のリストも公表した。

 IT系ではGoogle、Dropbox、Yahoo、Apple、Facebook。金融系ではPayPal、Wells Fargo、Bank of America、Navy Federal、Chase。後者はトップ5に入らなかったものの、PayPalと同様のIT企業と金融企業の両面を持つ他の企業も多く含んでいるという。

 「フィッシングサイトはすぐに消えてしまうため、静的なブラックリストで被害を防ぐのは難しい。機械学習のような技術を活用して、不正か否かを判断する新たなソリューションが必要だ」

 モバイルアプリケーションもリスク増加傾向にあることを明かした。ウェブルートは2000万以上のAndroidアプリケーションをサービスに追加して調査したところ、脅威となるアプリケーションが年々増加しているという。

 2014年前半は51%が中リスク、21%が脅威を持つアプリケーションだったが、2015年後半は30%が中リスク、52%が脅威を持つアプリケーションと増加傾向にある。また、2015年はAndroidの脆弱性発覚から10億以上のデバイスがアップデートを強いられ、iOSもマルウェアの一種であるXcode Ghostの発覚もあり、スマートフォンも安全ではない時代になっていることを強調した。

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