コンカー、請求書管理サービスを拡充--月締めに対応、OCRとBPOで入力を効率化

三浦優子

2016-05-11 12:03

 コンカーは5月10日、請求書管理サービス「Concur Invoice」を拡充、提供を開始した。日本語も含めた多言語に対応するとともに日本独自の商習慣にも対応している。人手で請求書をデータ化するために「Concur BPOセンター」をフィリピン・マニラに設置する。

 外部のパートナーとの協業でサービスを拡充する計画も進めている。代表取締役社長の三村真宗氏は「クラウドサービスの一つとして、無償で提供するOCR(光学式文字認識)での読み取り、アウトソーシングでの人手の入力、さらに現在準備中のものも含めたパートナーとの協業による、請求書のデータ化にさまざまなオプションを用意する。間接費の中で外部のベンダーに支払う請求書を処理する際の生産性向上、ガバナンス強化、可視化で業務改善につなげることができる」とアピールしている。

 コンカーはすでに日本で提供しているサービスが大企業中心に520社に導入されていることから、大手企業の既存顧客と新規顧客をInvoiceのターゲットとして、2017年からは中堅企業にアプローチすることを計画。2020年までに360社への導入を目標としている。

請求書も自動で処理できるようになる(コンカー提供)
請求書も自動で処理できるようになる(コンカー提供)
Concur 製品管理担当バイスプレジデント A.G. Lambert氏
Concur 製品管理担当バイスプレジデント A.G. Lambert氏
コンカー 代表取締役社長 三村真宗氏
コンカー 代表取締役社長 三村真宗氏

市場調査から日本独特の習慣にも対応

 コンカーは企業の間接費を効率的に処理するためのクラウドサービスを提供。2014年にSAPに買収されたが、「買収以降、ビジネスは好調で2015年には売り上げが倍増した。Concurは23年の実績をもち、1008以上の国で4000万人以上が利用している、間接費を管理できる唯一のプラットフォーム」(米本社製品管理担当バイスプレジデント A.G. Lambert氏)と現在でも事業が好調だとアピールする。

 提供しているクラウドサービスは、従業員の経費を管理する「Concur Expense」、出張費を管理する「Concur Travel」、そして2013年から提供し、今回拡充した請求書を管理するInvoice。Expenseは従業員数1000人以上の大手企業をターゲットとし、国内520社が採用している。

 Invoiceについては、2014年から日本でどんな機能が必要で、求められているのか、市場を調査。それを受けて2015年から日本市場向け機能を開発し、年末からはアーリーアダプターが使用して検証し、その上で正式なサービス開始となった。

 日本市場にフォーカスした機能としては、消費税計算機能、日本独自の商習慣である1カ月にまとめて経費を処理する月締めへの対応、同席者のトラッキング、OCR機能である「インテリジェントキャプチャー」、請求書払い印刷のカスタマイズ機能など。市場調査では、日本での経費処理業務に必須となる機能、必須ではないが要望が多い機能などを見極めて、搭載する機能を決定したという。

 三村氏は「企業の(原材料費や人件費などの)直接費は調達が統一されている。間接費に関しては調達先が部署や支店によってバラバラで管理が難しかった。この間接費管理で生産性とガバナンスの向上、可視化したいというニーズがあることが調査からわかった」と企業側も間接費管理にまつわる環境を変えることを望んでいたと指摘する。

 生産性という観点では、紙の請求書を社内のシステムに入力する作業が必要となることから、日本CFO協会の間接費に関する調査で「データ入力が大きな負担となっている」という回答が58%。「紙の請求書原本と入力内容の突合作業が大きな負荷となっている」という回答は74%と、紙の請求書を管理することに企業側は大きな負担だと感じていることが明らかになっている。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]