SAPはソフトウェア、プラットフォーム、サービスを手掛ける企業として知られているが、今後はデータ提供事業も展開する。
SAPの最高デジタル責任者であるJonathan Becher氏は、同社がデータ提供事業に参入することを明らかにした。世界中のトランザクションの76%にSAPのシステムが関与しており、同社が多くのデータにアクセスできることを考えれば、今回の判断にマーケットが驚くことはないはずだと述べた。
具体的には、同社は新たなデータ提供サービス「SAP Digital Consumer Insight」を発表した。このサービスは従量課金制で、料金はデータファイル1件につき439ドル、5件で1429ドルとなっている。
SAP Digital Consumer Insightで提供されるデータファイルは、SAP傘下のSybase 365が収集したもの。同社は複数の大手通信事業者、ソーシャルメディアネットワーク、金融機関に世界的な相互接続および相互運用サービスを提供している。
Sybase 365のプレジデントSethu Meenakshisundaram氏によれば、同社は1日当たり約40テラバイト相当の匿名データを収集しており、このデータは、230カ国の全モバイルユーザーのうち97%をカバーするネットワーク上で交わされる、21億件のトランザクションからなっている。
Becher氏は、SAPが提供するデータファイルは、オンライン上でブラウザから収集される情報の、実世界版だと説明している。
SAP Digital Consumer Insightで提供される一部のインサイトには、消費者の地域、年齢層、性別、使用しているデバイス、および他の地域や競合他社との比較などの情報が含まれる。
Becher氏とMeenakshisundaram氏によれば、これらのインサイトの用途には、広告、近接マーケティング、立地計画、販売戦略およびキャンペーンなどが考えられるという。
提供開始時点では、米国のモバイルデータを基にしたサービスを提供するが、2016年末までには他の地域のデータも追加される予定だ。
情報開示:本記事の著者は、SAPに同行して2016年のSAP Sapphire Nowに参加した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。