不動産業をデータとテクノロジで徹底的に可視化する--ネクストの井上高志氏 - (page 4)

山田竜司 (編集部) 吉澤亨史 2016年06月09日 07時00分

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--他の不動産関連会社よりITに注力している印象があるが、IT部門の体制は。

 ネクストのITは内製にこだわっており、受託開発型を避けています。先ほど自分たちのサービスで業界を変えようとしているとお話ししました。外注に出すとそこでもう仕様のずれがあったりとか、思いがずれるのですね。受託開発する側の人たちは、私たちの経営理念を絶対に実現しようと思って開発するということはなくて、仕様通りになりがちです。

 そこでタイムラグが発生してずれ込んでいくので、だったらもう同じ思いで開発する人をどんどん中に入れていくことにしました。そのため内製以外は考えられません。そういう同じ思いを持った人たちが、ユーザーのためにと毎日考えているので、革新的なサービスやユーザーにもっと喜んでもらえるものが出てくるわけです。

 IT部門でもビジネスと連携して子会社の社長を目指したり、事業を立ち上げるような従業員がいるのもわれわれの強みです。IT部門でもビジネスが分かるようにするために、社内に50~60くらいの勉強会やゼミがあります。そのゼミの中には経営塾があったり、プロジェクトマネジメントとか、レコメンデーションとか、ロジカルシンキングとか、本当に多岐にわたるスキル支援をしています。

 その出口として事業化コンテストなどがあり、みんながどんどん事業を提案していっています。こうして、現在、12の子会社が生まれましたが(事業者コンテストからは5社)が、その代表のうち、ITなど技術部門出身者は4割を占めます。

 ビジネス部門も、ITが分からなければそちらのゼミに参加しますし、IT系の人が、ビジネスのことが分からなければ、経営塾に参加しようとなります。きちんと学んで提案して、うまくいけば子会社のトップになれると思えば従業員もテンションが上がるじゃないですか。

 もともと事業をやりたいという人ばかりを採用しており、足元必要だからエンジニアを採る、というような採用はしません。「自分の成長の過程でこの会社というフィルタを使って、世の中にどんなインパクトを与えたいか」を必ず聞く。そこが釣り合わない、単なるプログラマーとして一生やっていきますというような人は、スクリーニングで落ちてしまいます。

--不動産の業界事情をオープンにしてしまっているが反応は。

 不動産業は情報の非対称性があるところに、ビジネスの旨みがある。でも私たちはその情報の非対称性をなくして全部透明化しようとしているプレイヤーです。物件も価格もどの業者がいいかも、どの物件の性能がいいも悪いも格付けまでしてしまおうというくらいの考えなので、全部透明にします。

 その中で、まともな不動産会社さんは「いいよね」といってくれるわけです、当然。先ほどのAIのようにもっとお客様に適切にご紹介ができる、そういうものもいいよねといってくれるわけです。優良誠実な方々は間違いなく乗ってきますよ。

 一方で、これは私が問題視しているのは不動産業での“囲い込み”の問題です。囲い込みというのはまさに恣意的に情報の非対称性を作って、そこで自社の利益をとっているというスタイルです。つまりは他の業者さんから引き合いが来ても、自社ネットワーク内で売主と買主両方から不動産売買の際に発生する手数料の獲得を狙う背任行為です。


囲い込み

 囲い込みのやり方はこうです。不動産が5000万円で売れたかも知れないのに、自社のネットワーク以外からの問い合わせには「もう申し込み入っているから無理」と嘘をついて全部排除してしまいます。そのうち自社のネットワークの中から申し込みがあると「内部ネットワークで、4500万円という人がようやくでましたよ」といって、「昨今の相場だとこの辺が妥当ですかね」と言いくるめ、そして(手数料分を自社内で500万円優遇し実質化価格)4000万円で売る。これは完全な背任行為で、宅建業法違反でもあります。

 でもそういうことが業界の中であるということはみんな知っています。みんなが知っていて泣き寝入りしている。そういうことも、不動産会社同士がレビューとか評価する中で、「囲い込みされた」みたいなことを書き込むことで、だんだん可視化していけば少しは変わる可能性があります。

 すでに契約が決まっている優良物件の広告で消費者をだます「おとり物件」もありますし、個人的な意見ですが、どの役務に対して払う名目のお金なのか全く根拠がない「礼金」も根強いですし、手抜き工事をする事業者もいる。とにかく不動産業は情報の非対称性が大きい。

 ユーザーからすると本当にドキドキしながら不動産会社と関わらなくてはいけない。そういうことを安心してできるようにというのが、私たちがやろうしている可視化、透明化なのです。

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