海外コメンタリー

「企業向けIoTの複雑さを取り除く」--シスコ×Jasperで目指すこと - (page 2)

Corinne Reichert (ZDNet.com.au) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2016-07-21 06:00

 Jasperの顧客には、モバイル事業者としてAT&T(Ciscoとともに「IoT Starter Kit」を開発し、米国時間7月12日にその発売を発表している)や、カナダの3事業者すべて、日本の3事業者のうちの2事業者とともに、中国のChina Unicom(中国聯合通信:Namie氏は中国のIoT市場が急速に成長しているとコメントしている)、欧州の複数の事業者、アラブ首長国連邦(UAE)のEtisalat、オーストラリアのTelstra(同氏の言葉を借りると、ネットワークに対して「本気」で取り組んでいる企業だ)とOptusが含まれているという。

 またNamie氏によると、より重要なのはJasperがこれらのモバイルネットワークを利用している5100社以上の企業を顧客にしている点だという。同氏は、Jasperのプラットフォームに接続されているデバイスの数が3200万台以上に達しており、毎月100万台以上のペースでデバイスが増えている点を挙げ、同社の現行IoT製品が「急成長段階」に入っていると述べた。

 Jasperは、IoTの接続に関するソリューションを求めるモバイル事業者と法人顧客の橋渡しをするクラウドベースのSaaS「Jasper Control Center」を提供している。このサービスでは、ウェブやAPIを経由して、サービスの起動を制御したり、顧客のプランや関連ポリシー、使用量の監視、報告、詐欺の監視を評価したりできる。

 Jasperの製品は現在、既存の携帯電話回線網を利用している。とは言うものの、JasperはエンタープライズWi-Fi(「Ciscoのなかで大きな部分を占めている」とNamie氏は認識している)とともに、LoRaのような低電力広域(LPWA)ネットワークといったテクノロジを積極的に検討しているという。

 同氏は「実際のところ、ほとんどの事業者はLPWAにも目を向けている」と付け加えた。

 「LoRaのように免許不要の周波数帯を使用するモデルを採用すべきかどうかや、そのようなモデルと、ナローバンドIoT(NB-IoT)や、LTEのカテゴリMやカテゴリ1といった携帯電話回線網をベースにしたモデルとのすみ分けについて、業界内ではまだ少ししか議論されていない」(Namie氏)

 ナローバンドIoTを推す人々は、それが既存の携帯電話回線網を利用するものであるため、ソフトウェアをアップグレードするだけですぐに全国をカバーできるという点、そして既存の周波数帯域を流用できるため、新たな帯域の割り当てや法制化の議論を避けられるという点を重視している。

 またNamie氏は、IoTでLPWAを使用する短所に言及し、「最大の問題は電波障害と雑音だ」と述べた。

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