電子商取引については、商取引そのものの拡大に目が行きがちだが、同氏は「重要なのは、それを支えたり効果を最大化するネットワークやビッグデータ活用の技術。この技術を磨かないとグローバル競争では生き残れない」と話す。
そしてAIについては、車の自動運転と同様に即応性と、加えて汎用性がポイントになるという。とくに汎用性については、「どんな用途にも臨機応変に対応するようなAIが出現すれば、社会に与える影響が一変する可能性がある。脅威になる面もあるが、その扱い方も含めて、日本はグローバルでも技術革新のトップを走る気構えを持つべきだ」というのが同氏の見解だ。
こうしてみると、鈴木氏の話は日本を愛すればこその技術革新に対する強い危機感といえそうだ。まさに次世代へのメッセージである。
「データセンターの“タイムマシン”を提供したい」 (シスコシステムズ 藤本司郎 執行役員)

シスコシステムズの藤本司郎 執行役員
シスコシステムズが先ごろ、データセンター内のネットワークやアプリケーションの動作状況を可視化してリアルタイムに分析できるプラットフォーム製品「Cisco Tetration Analytics」を発表した。同社の執行役員でデータセンター/バーチャライゼーション事業を担当する藤本氏の冒頭の発言は、その発表会見で、新製品の特徴を端的に語ったものである。
Tetration Analyticsは、データセンター内のすべてのパケットやフロー、帯域利用などをリアルタイムに可視化することが可能。ハードウェアやソフトウェアセンサからテレメトリ情報を収集し、その膨大なデータを高度な機械学習技術によって分析できるという。データセンターの運用で重要となるポリシーコンプライアンス、アプリケーションフォレンジクス、ホワイトリストセキュリティモデルへの移行などの問題に対応するとしている。
アプライアンスによって提供されるこのプラットフォーム製品による継続的な監視、分析、レポートの提供により、IT管理者はデータセンターの状態を詳細に把握する。運用の信頼性やゼロトラストモデルでの運用、クラウドへのアプリケーションの移行を大幅に簡略化できるのが、ユーザーメリットとなる。
なぜ、データセンターの“タイムマシン”なのか。藤本氏によると、それは、過去に何があったかを巻き戻して確認するとともに、現在何が実行されているのかをリアルタイムに表示し、さらに将来何が行われる可能性があるのかをモデリングすることが可能だからだ。
こうしたデータセンターのアナリティクスツールは他にもあるが、「すべてのパケットやフローなどをチェックしているアナリティクスツールは他にない。しかも他のツールではビッグデータを活用するためにデータサイエンティストを必要とするが、Tetration Analyticsの使い勝手は非常に容易なので、データサイエンティストのような専門家がいなくても活用できる。この点も大きな特長だ」としている。
国内では8月に販売開始し、価格はその際に明らかにするというが、さしずめコストパフォーマンスが気になるところだ。それを含めて、ぜひとも活用事例見てみたい。