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松岡功の一言もの申す

「Watson IoT」はIBMの“救世主”となるか

松岡功

2016-07-28 11:45

 IBMがコグニティブ(認知)技術「Watson」を活用したIoT(Internet of Things)事業に本格的に乗り出した。同社にとってはまさに今後の中核事業になり得る分野だ。果たして、長らくの業績低迷から脱却する決め手となるか。

IBMのIoT事業は全面的に「Watson IoT」へ

 「IBMはコグニティブ技術とクラウドを提供する会社だ」―― 米IBMのVirginia Rometty 最高経営責任者(CEO)がこう“宣言”して始まった2016年。その最もストライクゾーンといえる事業が、まさに同社が今年から取り組み始めた「Watson IoT」である。

 その名の通り、Watsonを活用したIoTソリューションを展開する事業で、IBMはその基盤となる「Watson IoT Platform」をクラウドサービスとして提供。これを基にWatson IoT事業を大きく広げていきたい構えだ。

 その一環として、日本IBMが7月26日、Watson IoT Platformを活用するビジネスパートナーとのエコシステムを構築するプログラム「Watson IoT Platformパートナーエコシステム」を開始することを発表した。その内容については関連記事を参照いただくとして、ここではWatson IoT事業に込められたIBMの思惑を探ってみたい。

林健一郎 理事
会見に臨む日本IBM Watson IoT事業部長 林健一郎氏

 筆者がまず確かめたかったのは、IBMのIoT事業は今後、全面的にWatson IoTになるのかどうかだ。同社は2015年3月、IoT事業に4年間で30億ドルを投資することを明言した。全面的ならば、この巨額投資はWatson IoTに投入されることになる。日本IBMの発表会見でこの点について聞いたところ、 Watson IoT事業部長の林健一郎氏は次のように答えた。

 「日本でのIoT事業は今後、全面的にWatson IoTになる。グローバルでも同じ方向にあり、30億ドルの大半はWatson IoTへの投資になるというのが私の実感だ」

 林氏は日本の事業責任者なので、グローバルでの動きについて確たる発言はしづらい立場だが、IBMグローバルのIoT事業もすなわちWatson IoTになる方向であることを自身の感触として示してくれた。

競合と比べて業界特化ソリューションに“一日の長”

 考えてみると、IBMがIoT事業においてWatsonを活用するのは当然の動きだろう。その理由は、IBMならではのWatsonがIoT事業においても強力なアドバンテージになるからだ。会見では、クラウドサービスで競合するAmazon Web Services(AWS)やMicrosoft AzureなどもIoTプラットフォームを整備してビジネス拡大を図っているが、IBMの優位性はどこにあるか、との質問も出た。これに対し、林氏は次のように答えた。

 「IBMはWatson IoT Platformによって、業種ごとに特化したソリューションもすでに手掛けている。例えば、日本では自動車、エレクトロニクス、保険、産業機器、小売、通信といった6つの業界を対象にしたソリューション展開を進めており、自動車とエレクトロニクスではすでに実績も上げている。こうした動きは競合他社に比べて、当社に“一日の長”があると自負している」

業界特化ソリューション
日本IBMが推進する「Watson IoT Platform」を活用した業界特化ソリューション

 こうした動きも、Watsonそのものが、かねて業種ごとに特化した製品やサービスの展開を進め、実績を上げつつあることから、ユーザー企業にとっては分かりやすい取り組みといえそうだ。

 ただ、IBMにとって中核事業の1つになるであろうWatson IoTには、業績への貢献も急がれる。日本IBMの業績はここ数年、堅調に推移しているものの、IBMグローバルは直近の四半期まで17四半期連続の減収と、業績低迷の長いトンネルから抜け出せないままだ。Rometty氏が言う新しいIBMを体現したWatson IoTが、果たして“救世主”となるか、注目しておきたい。

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